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はやぶさ2、6日に帰還へ 過酷な大気圏突入、最後の難関

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小惑星探査機「はやぶさ2」が12月6日、地球に帰還する。過酷な大気圏突入を経てカプセルを無事に回収し、小惑星リュウグウの試料を持ち帰ることはできるのか。往復6年の長旅は最後の山場を迎える。

 

 

1万度の超高温

 

はやぶさ2は2014年12月、H2Aロケットで打ち上げられた。来月5日、リュウグウの試料が入っているとみられるカプセルを地球上空で分離し、6日未明にオーストラリア南部の砂漠に着陸させる計画だ。主力のイオンエンジンによる軌道修正を既に完了し、帰還に向けた最終飛行を順調に続けている。

 

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今後の重要な局面は、カプセルを切り離す際の姿勢制御だ。カプセルは機体の進行方向の前面に付いており、着陸する場所の方を向いていない。このため切り離す直前に、カプセルが着陸場所へ向かいやすくなるように機体の姿勢を大きく変える必要がある。

 

限られた時間内の複雑な操作で難度は高いが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は「リュウグウの着地では、もっと複雑な制御を行った」と自信を見せる。

 

切り離したカプセルは秒速12キロで大気圏に突入。超高速で空気と衝突するため、1万度を超える高温にさらされる。最後の難関だが、カプセルは熱を遮る炭素繊維で覆っているため、表面の温度は約3千度にとどまり、内部は高くなっても60~80度で試料の変質は避けられるとみている。

 

 

砂漠で捜索作業

 

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着陸場所は南北約150キロ、東西約100キロの広大な砂漠地帯。ここから直径40センチのカプセルを見つけ出すのは大変な作業だ。高度10キロでパラシュートを開き緩やかに降下するが、風向きによっては大きく流される。このためヘリコプターで捜索するほか、初代はやぶさでは使わなかった無人機ドローンで地表を隙間なく撮影し、画像を解析して見つけ出す新手法も使う。

 

カプセルは自分の位置を知らせるため電波信号を発するが、発信できないトラブルに備え、降下中のパラシュートに電波を当てて反射波で位置を確かめるレーダーも導入。回収を担当するJAXAの中沢暁サブマネージャは「必ず迅速に見つけたい」と意気込む。

 

回収したカプセルはすぐに開封せず、現地の作業拠点で内部のガスだけを採取する。リュウグウの試料が揮発性の成分を含んでいた場合、輸送中に漏れ出す可能性があることから、一刻も早く保存するためだ。

 

その後、チャーター機で100時間以内に日本へ輸送。相模原市のJAXA宇宙科学研究所に運び、地球の大気に触れないよう厳重に密閉した装置内で試料を取り出す。半年間にわたって顕微鏡での観察や重さの計測を行った後、成分などの本格的な分析を始める。初代はやぶさは、ごくわずかな微粒子しか回収できなかったが、今回はより多くの採取に期待がかかる。

 

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リュウグウは炭素を主成分とする原始的な「C型」に分類される小惑星。生命の材料となる有機物や水が、太陽系が誕生した約46億年前の状態で残っているとされる。地表だけでなく風化していない地下の試料も採取できたとみられ、これらを比較すれば、太陽系の成り立ちや生命誕生の謎に迫ることができそうだ。

 

 

「延長戦」へ出発

 

はやぶさ2はカプセル分離後、軌道を変更して地球を離れ、新たな旅に出る。別の小惑星「1998KY26」の探査に向かい、31年7月に到着する予定だ。

 

この小惑星は直径約30メートルでリュウグウよりずっと小さいが、同じC型の可能性がある。カプセルを切り離した後なので試料は採取できないものの、間近で観測できればC型小惑星の知見が深まりそうだ。

 

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はやぶさ2の本来の目的はリュウグウの試料を持ち帰ることであり、新たな探査はエンジンなどの余力を生かした「延長戦」だ。片道の飛行距離は、リュウグウとの往復の約2倍に当たる約100億キロに及ぶ。

 

現時点で機体に異常がなくても、設計の想定を超える長旅では何が起こるか分からない。計画を率いる津田雄一プロジェクトマネージャは「さらなる成果に向けて、挑戦的な終わり方ができれば」と語った。

 

筆者:伊藤壽一郎(産経新聞科学部)

 

 

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