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「チベット弾圧に日米で対処を」 亡命政権日本代表が実態語る

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チベット亡命政権の代表機関、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のアリヤ代表は4月、産経新聞とJAPAN Forwardの取材に応じ、自治区の厳しい情報統制をはじめとする弾圧の実態を説明、チベットの人権問題に日米がともに取り組むよう求めた。

 

チベット自治区では、2008年3月に中国政府の宗教弾圧に抗議する大規模な反中国デモ(チベット騒乱)が起きた後も、チベット語教育の禁止など当局の抑圧・統制が進み、抗議の焼身自殺者が絶えない。

 

現在、チベットに関する国際報道はウイグルに比べて少ないが、アリヤ氏は「情報が出ていないからチベットは平和だと考えるのは間違いだ」と訴えた。自治区の区都ラサは、いたるところに警察署が設けられている上、住民が相互に監視し合う制度もつくられ、1960~70年代の文化大革命を彷彿(ほうふつ)させる統制社会になっているという。

 

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菅義偉(すが・よしひで)首相が4月16日に初の直接会談を行ったバイデン米大統領の政権は、中国に対し香港や新疆(しんきょう)ウイグル自治区だけでなくチベット自治区の人権を擁護する姿勢を強く打ち出している。

 

アリア代表は、菅首相に「チベットの人権問題についてバイデン氏と認識を共有し、日米でともに取り組んでもらいたい」と求めた。

 

アリヤ代表のインタビューの主なやりとりは次の通り。

 

 

「皆が互いを疑う警察国家に」

 

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-中国政府は2008年の北京夏季五輪開催の際、人権状況を改善すると約束していた

 

改善どころか悪化している。チベット自治区はいまや『警察国家』になってしまった。区都ラサには警察署がコンビニエンスストアのようにいたるところにあり、人々を監視している。さらに当局は、人々にグループをつくらせ、デモなどの動きが起きないよう相互に監視させる制度をつくった。そのため、1960年代の文化大革命のときのように、皆が互いを疑い、信用できなくなっている。チベット人を団結させないようにするのが中国政府の狙いだ。

 

-2009年以降、中国当局の宗教、人権弾圧に抗議して、焼身自殺した僧侶らは150人を超える

 

2010年ごろ、中国がチベット語による教育を禁止したことに、たくさんの学生らが抗議し、ニュースにもなった。しかし、今は締め付けが厳しく、平和的な抗議活動さえできない。2015年9月には、シュルモという26歳の青年が中国政府の抑圧的政策に抗議して焼身自殺し、多くの人がそれを目撃した。彼の親戚3人は当局に拘束され、今も行方不明のままだ。だが、これらの情報は、5年以上たった今年1月にようやく外部に出た。

 

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-それだけ情報統制が進んでいるということか

 

今、チベットからは情報がほとんど出てこないし、人も出てこられない。外部の情報と人もチベットに入っていけない状況だ。われわれ海外にいるチベット人は数年前に、自治区内の親戚や知人から『絶対に電話をしてこないで』といわれるようになった。プライベートな話をしても、当局から『政府の情報をもらした』と疑われ、どんな目に合うかわからないからだ。

 

 

労働訓練で洗脳

 

-新疆(しんきょう)ウイグル自治区に関する報道に比べ、チベットの報道は少ない

 

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だからといってチベットは平和だと考えるのは間違いだ。北朝鮮からも情報はあまり出てこない。それと同じといえば、分かっていただけると思う。チベットを警察国家にしたのは、2011年から16年までチベット自治区トップの共産党委員会書記だった陳全国氏だ。彼は今、新疆ウイグル自治区党書記を務めている。ウイグルの情報が出ているのは、チベットと違って、まだ彼の政策が完全に実行できていないからだといわれている。

 

-チベット自治区の農民ら50万人以上が昨年、軍隊式の労働訓練を施設で受け、自治区内外に移動させられたと米シンクタンクが報告した。新疆ウイグル自治区の状況と似ている

 

チベットは中国に侵略されて70年以上がたち、外面的には中国のものになっているが、チベット人は自分たちの言語、文化を大事にしており、その心、考え、忠誠は中国にはない。軍隊式に訓練し、洗脳し、住んでいるところから放逐し、家族とバラバラにして自分の生活だけで精いっぱいの状況にすれば、アイデンティティーを破壊できる。中国政府は貧困削減のためだというが、非常に危険な政策だ。

 

 

仏教文化を破壊

 

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-アイデンティティーの核には仏教がある

 

中国政府はチベットの仏教の伝統をもコントロールしようとしている。転生活仏を選ぶ際には中国政府の許可が必要だとし、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ法王の後継者選びにも介入しようとしている。これは仏教文化の破壊であり、宗教的な迫害だ。

 

-中国はチベットは内政問題だと主張する

 

内政問題ではなく、人権、宗教、言語、環境、自由、正義の問題だ。中国政府は今、自由や民主といった価値観を攻撃し、奪おうとしている。世界中で大事にされている価値観、われわれの子供たち、そして中国人のためにも、国際社会が団結して、中国の政権に行動を変えさせなければならない。菅義偉首相にはチベットの人権問題についてバイデン大統領と認識を共有し、日米でともに取り組んでもらいたい。

 

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聞き手:原川貴郎(産経新聞)

 

 

■アリヤ・ツェワン・ギャルポ氏 インド生まれ。1988年、チベット亡命政権の財務省入省。ダライ・ラマ法王日本代表部事務局長、同ニューデリー代表部事務局長、情報・国際省情報局長などを経て、昨年10月、ダライ・ラマ法王日本代表部代表として着任。55歳。デリー大学博士(仏教学)。

 

 

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