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フィギュア1千体に「ひなビタ♪」も 倉吉、クールに変身

The Sankei Shimbun

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昭和30年に建てられた元円形校舎の教室に、2・5頭身の手のひらサイズフィギュアが1千体。白壁土蔵群のレトロな街並みを観光の柱とする鳥取県倉吉市が“クール”に生まれ変わろうとしている。行政が、対極的な素材の融合で誘客を図る「レトロ&クールツーリズム」を打ち出せば、商工会議所など民間は「フィギュアのまち」づくりを宣言して呼応。人口5万人足らずの小さな市は「ポップカルチャー」で活気づいている。

 

 

国際都市と肩を並べる

 

「コンテンツの力を思い知りました。なにせ1カ月間に2万5千人が全国から倉吉に来られたのですから」

 

同市商工観光課の稲毛一智さんが話すのは、平成27年に開催した「フィギュア博覧会in倉吉」。「ねんどろいど」と呼ばれるフィギュア500体を展示した。ねんどろいどはアニメやゲームのキャラクターのデフォルメフィギュアで、キャラクターのファンらがグッズのひとつとして収集したり飾ったりする。

 

それから6年、2倍まで増えたフィギュアを一堂に集めたのが今回の「ねんどろいどが1000体やってきた」だ。上海、ロサンゼルス、台北(台湾)、東京と開催し、最後の開催地が倉吉。「国際都市の中にあって倉吉だけが異質。集客力のある都会ではなく地方都市で勢ぞろいなんて本来ありえない」。ファンも驚く展示が実現したのは、ねんどろいどを製造、販売する会社「グッドスマイルカンパニー」(本社・東京、愛称グッスマ)が前年の26年に誘致企業として同市に工場進出したからだ。

 

コロナ禍でも問い合わせ

 

今回の会場の「円形劇場 くらよしフィギュアミュージアム」は市立小学校の校舎を改修して3年前にオープンした。老朽化で解体予定だったが、地元の保存運動が実り存続が決まった。同劇場の稲嶋正彦社長は「存続方法を悩んでいたとき、フィギュアメーカーの海洋堂さんから『形がおもしろく、しかも日本最古。フィギュアミュージアムにすれば観光客が呼べる』と助言をいただきました」。

 

今回の展示は、1~3階に15ある元教室のうちの2室に、名探偵コナンや初音ミク、スパイダーマンなどさまざまなキャラクターのねんどろいどが壁面いっぱいに並ぶ。稲嶋社長は「新型コロナウイルス禍で『今は行けないのか』と県外から問い合わせが来ています。会期は3月21日までなので、県境を超えた往来自粛が解除されたらおいでくださいと答えています」と話す。

 

 

架空都市と姉妹都市提携

 

平成28年4月1日、倉吉市は「倉野川市」と姉妹都市提携した。聞きなれない市名の倉野川は架空都市。コナミデジタルエンタテインメントが展開する音楽ゲーム(web連動型音楽配信企画)「ひなビタ♪」で主人公の少女たちが生まれ育った街だ。倉吉市は倉野川市のモデルとされ、ファンにとっての「聖地」。主人公らの声優が駆け付け開催されたイベントには2日間で約6千人が参加した。

 

「ふだんは50代以上の観光客が多い白壁土蔵群に20~30代の男性がびっしり。これもコンテンツの力を実感したイベントです」と稲毛さん。フィギュアと並び、市がもうひとつの柱に据えるポップカルチャーが「ひなビタ♪」だ。

 

市が、あるイベントで行った参加者アンケートでは、「ひなビタ♪」を目的に訪れた観光客のうち半数以上が20代男性で、倉吉を以前に訪れたことのある割合を示すリピート率は77%、滞在日数は1・49泊、観光消費額は3万7575円との結果が出た。日帰りが中心の従来の倉吉観光とは異なり、「経済効果は数字が如実に表しています」と稲毛さんは言う。

 

 

地域の定住者拡大にも貢献

 

この姉妹都市提携とイベント運営には、グッスマが協力している。「工場進出は最初から倉吉と決めていたわけではありません。進出に際して各県に問い合わせたのですが、『まんが王国』を施策に掲げる鳥取県、その仲介で紹介された倉吉市の反応がとてもよく、従業員の住居のことなどでお世話になった。協力はその恩返しです」。工場長の谷本哲也さんはそう語る。

 

工場の従業員は進出時の60人から現在は130人を超えるまでに増え、中にはフランスや台湾、香港から「フィギュアにかかわりたい」と来日してきた人もいる。さらに、フィギュアや「ひなビタ♪」を目当てに何度か倉吉に通ううち倉吉が気に入り、同社工場などで働くようになった県外からの移住者が30人以上おり、ポップカルチャーは定住策にまで波及している。

 

 

目標は水木しげるロード

 

倉吉商工会議所などは昨年10月、「フィギュアのまち倉吉を創る会」を設立。活動の手始めとして昨年末から、白壁土蔵群の中心施設や寺院、駅など11カ所を「まちなかミュージアム」と位置づけ、そこにフィギュアを展示する取り組みをスタートさせた。

 

このうち、滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」で知られる里見忠義と殉死した家臣8人の墓がある寺院「大岳(だいがく)院」では、阿修羅や四天王などの仏像フィギュアを展示。テーマ性をもたせて工夫を凝らし、集客を図っている。

 

同会幹事長を務める同商議所の佐々木敬宗(ゆきとし)専務理事は「ポップカルチャーは地域資源」としたうえで「まちなかミュージアムを、人気の『水木しげるロード』(鳥取県境港市)のように観光客を呼び込むエリアとしたい」と意気込んだ。

 

 

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