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ロボットの褒め言葉でも「能力」は伸ばせる

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子育てや教育などで使われる「褒めて伸ばす」を人ではなく、ロボットが行っても褒められた人の運動機能の向上につながることを、筑波大などの研究チームが突き止めた。人は他者から褒められたとき、精神的満足感だけでなく、作業効率が向上するが、ロボットから褒められた場合でも同様の効果がみられたほか、複数から褒められるとさらに能力がアップした。チームは、人手不足で悩む教育や介護・福祉の現場への積極的な活用を期待している。(有年由貴子)

 

研究は、筑波大の飯尾尊優(たかまさ)助教(ロボット工学)と国際電気通信基礎技術研究所の塩見昌裕室長らの研究チームが実施した。

 

チームは、「褒め役」として、人間とコミュニケーションができる小型のヒト型ロボット「Sota(ソータ)」と、モニター画面に映し出すソータのコンピューターグラフィックス(CG)キャラクターを用意。「褒められ役」の大学生96人(平均年齢21歳)は褒められ方によってグループ分けし、パソコンのキーボードを決められた順番で制限時間内に打ってもらった。

 

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褒められ方は、(1)褒められず練習の進捗(しんちょく)状況だけを伝えられる(2)1体から「1回目よりタイピングが早くなっています。素晴らしいですね」などと褒められる(3)2体から交互に褒められる-の3通りの褒め方で、ロボットとCGキャラクターのそれぞれについて計6パターンに分類。声掛けによって翌日の作業効率にどう影響が表れるかを確認した。

 

その結果、ロボットとCGキャラクターのいずれか1体から「褒め」があった場合は、なかった場合に比べ、翌日の作業効率は1・8~2・5倍向上。さらに、2体から褒められると1体より1・8~2・1倍伸びた。人工物であるロボットやCGからの「褒め」でも運動技能向上の効果があったことになり、「褒め役」が多ければ多いほど、その効果が高まることが示された。ロボット、CGという褒め役による差は認められなかった。

 

研究チームによると、「褒め」が運動技能の習得を促す秘密は大脳にあるという。先行研究では、人は他人から褒められると、報酬を受け取ったときの心地よさや運動機能に深く関わる大脳深部の「線条体(せんじょうたい)」が活性化し、金銭的な報酬を得たときと同じような脳活動がみられることが判明。その結果として、1晩寝ている間に身体に運動技能の記憶が定着しやすくなることが分かっている。

 

ソータはロボットだが、人の言動に応じて身ぶり手ぶりを交えて発話するなど、人間らしい振る舞いができる。このため、飯尾助教は「人間は、人間らしいものが主体的に褒めてくれることを認識した場合に喜びを感じるのではないか」と推察。今後は、「身体」を持たず人工知能(AI)が応答するスマートスピーカーや、褒めながら抱きしめるといった身体接触ができるロボットでも効果を検証したいとしている。

 

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さらに今回の計測で、複数から褒められるとより能力の向上がみられたことから、教育分野や学習支援、介護やリハビリテーションなどの福祉の現場に、複数の褒めるロボットやCGキャラクターを導入することによる効果も期待されるという。

 

飯尾助教は「人手は簡単には増やせないが、ロボットやCGなら増やすことができる。どのくらいの数から褒められた場合に効果が最大になるのかも調べたい」と話している。

 

 

この記事の英文記事を読む

 

 

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