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中国資本買収が80カ所 防衛施設周辺や離島 政府調査

Toyohiro Ichioka

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中国系資本が何らかの形で関与した疑いがある安全保障上重要な土地の買収件数が全国で約80カ所に上るとの調査を政府関係機関がまとめていたことが11月、分かった。11月9日に開かれた政府有識者会議の初会合では、各地方議会などで問題視された事例が報告された。

 

北海道千歳市議会では平成26年6月、航空自衛隊千歳基地から約3キロの隣接地約8ヘクタールが中国資本に買収されたことが質問で出た。台湾と接する沖縄県竹富町議会では28年9月、中国系資本が宅地約2・4ヘクタールを買収しようとし、これを防ぐため町による土地購入が検討された。

 

こうした実態を踏まえ、有識者会議は年内にも政府に提言を提出する。政府は提言を踏まえ、防衛施設周辺や国境離島などの土地所有者の国籍や利用実態などを調査する権限を政府に付与する関連法案を来年1月召集の通常国会に提出する方針だ。

 

 

自衛隊レーダー基地の喉元に迫る

 

ヒュン、ヒュン、ヒュン…。日本海を吹き渡る風を受け、風力発電の風車が風を切る音が響く。国内最北部に位置する北海道稚内市の野寒布(のしゃっぷ)岬。背後の高台にはロシア国境に目を光らせる自衛隊分屯地のレーダーサイトが見える。周辺の土地は数年前、風力発電業者らがわれ先にと買いあさった。中でも基地関係者が「分屯地の喉元(のどもと)」と表現する近接地を、中国系資本が関与するとみられる事業者が買収していた。誰が何のために買収したのか。

 

野寒布岬周辺の道路を車で走り、再生可能エネルギー事業計画が8件届けられた場所にたどり着いた。現在は営業していないラブホテルが建つ計画地は草が生い茂り、実際に稼働している様子はない。

 

高台に近い2カ所、計約5000平方メートルは東京・銀座に本社を置く再エネ事業会社が購入した。陸海空の自衛隊が共同使用する分屯地のレーダーサイトまでわずか約1キロの距離だ。

 

「まさにチョークポイント」。稚内分屯地が面する野寒布岬について、基地関係者は地政学上重要な水路を意味する言葉を使う。東アジアと欧州を結ぶ北極海航路は近年、中国など各国が注目するシーレーンだ。日本海からオホーツク海へ抜ける宗谷海峡に面する稚内は特に重要な情報収集拠点となる。

 

分屯地幹部は28年ごろ、近隣での計画を避けられないか、水面下で市幹部に打診した。敵対勢力から通信傍受されて機密が漏洩(ろうえい)したり、妨害電波による攻撃を受けたりする恐れがあったからだ。分屯地では買収業者を徹底的に調べ、敷地内からの監視を強化した。特に注視したのが、高台近くの2カ所を購入した再エネ事業会社だった。同社は事業説明会に風車メーカーの中国人社長を伴っていた。

 

 

動き活発「何か意図」

 

年間を通じて強風が吹く野寒布岬周辺は風力発電の適地となっている。市内では今年7月までに約90件の小型風力発電計画が資源エネルギー庁に提出された。

 

自衛隊稚内分屯地から約1キロの崖下2カ所を購入した再エネ事業会社の力の入れようは特に目立った。市内に事務所を設置し、市立小学校に図書を寄付したほか、実質経営者の男性が繰り返し市長に面会を求めた。少なくとも市内の9カ所で小型風力や太陽光発電を計画。平成29年6月には行政関係者を集めた事業説明会を市内で開き、風車メーカーの中国人社長が性能や保険について説明した。

 

分屯地の近接地は30年2月に買収し、9月にエネ庁が計画を認定した。買収額は200万~300万円だという。昨年4月の市長選には社員が立候補した。「金もうけかもしれないが、何か意図があってやっているんだなと思った」と市幹部は振り返る。

 

 

国会議員も関与

 

同社は昨年9月に撤退し、計画地6件は別業者に譲渡された。同社だけではなく、市内の小型風力計画約90件のうち、約70件は稼働していない。29年12月に住民への説明を義務付ける市条例が制定され、30年4月の電力買い取り価格引き下げが追い打ちをかけた。

 

分屯地近くの土地を購入した会社は中国資本だったのか、土地購入の狙いは-。市内に残る元社員や現社長に聞いたが、実質経営者の男性が1人で経理を担当し、土地も選んだとして判然としない。

 

実質経営者の男性が代表取締役を務める東京・銀座の関連会社を訪ねると、社員が「長期入院中で面会できない」と取材を断った。ただ、北海道が地盤のベテラン国会議員が詳細を知ることを明かした。この議員に連絡を取ると「一方的に数回電話がかかってきただけ」と述べ、こう続けた。

 

「仮に中国資本として、わずかな土地を買ったくらいで問題だろうか。日本人はバブル期にニューヨークに土地を買った」

 

 

中国政府関係者と接触?

 

一方、分屯地の近隣地を引き継いだ青森県の会社経営者は日本国籍で、「転売するつもりは今のところはない」という。風車メーカーの役員は「中国との資本関係はない」と否定するが、株主の代表取締役が中国人であることは認めた。

 

分屯地近くの土地購入について、中国との関連を警戒するのは自衛隊だけではない。別の情報機関も風車メーカー関係者と中国政府関係者との接触を確認しているという。

 

安全保障上重要な施設を脅かす土地の取引が不透明であることに、政府関係者は「実態把握が困難な部分に外国勢力は入り込む。まずは調査できるようにすることから始めなければ」と危機感を募らせる。

 

筆者:市岡豊大(産経新聞)

 

 

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Toyohiro Ichioka is a staff writer for the Sankei Shimbun, City News Department.

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