Connect with us
Advertisement

安倍氏をめぐる2つのニュース

Avatar

Published

on

 

※2020年12月24日付産経新聞【阿比留瑠比の極言御免】を転載しています

 

 

今年最後の当欄で、朝日新聞の記事など触れたくなかったが、23日付朝刊紙面があまりにも朝日らしい独特の「全集中」の型だったので紹介する。朝日は1面トップとサイド記事、2、3面トップと社説、オピニオン面特集と社会面見開きを費やして同じ問題を取り上げていた。

 

 

毎度のやり方

 

天変地異でも起きたかのような大騒ぎの対象はというと、安倍晋三前首相が自身の後援会の政治資金収支報告書への不記載問題をめぐり、東京地検特捜部に任意で事情聴取を受けた件の関連記事である。

 

読者の脳裏に、これは大問題だと刷り込みたいときの毎度のやり方だといえる。だが、中身を読むと地検は、安倍氏には「具体的な関与はなかったとして不起訴処分とする方針を固めた」というのが結論である。しかも、地検内のこんな声も紹介している。

 

「『首相が事務所の経費にいちいち口出しするわけがない』との意見もあった。そんな中で検察がより強く意識したのは『国民の視線』だった」

 

「ある幹部は『法律家として(安倍氏から)聴く必要はないと思っても、国民の代表である検審(検察審査会)が許さず、捜査不十分と言われかねない』と語った」

 

何のことはない。地検は国民の目が怖いので、行う必要もない事情聴取をしたという内情を、朝日自身がばらしている。そうした国民の声を形成したのが、朝日と同調メディアによる一連の洪水のような報道だと自慢しているのだろうか。

 

朝日は社説では、まるで事情聴取を受けたこと自体が悪いかのように書くが、それも誤解と偏見を招く。特定の人物の印象を悪くすることが狙いの刑事告発を誘発しかねない。任意の聴取に協力せず、逃げきれば勝ちだとでもいうのか-。

 

 

米勲章の意味

 

ともあれ、この日は安倍氏をめぐって、別のニュースもあったが、朝日の紙面には見当たらなかった(産経新聞もミニニュースと扱いは小さかった)。

 

安倍氏が米国のトランプ大統領から、日本の歴代首相として初めて、最高指揮官として特に困難な任務に格別な功績を挙げた者に授与される最高位の勲章「レジオン・オブ・メリット」を贈られたという快挙である。理由は「自由で開かれたインド太平洋への指導力とビジョン」だった。

 

まさに安倍氏が提唱し、米国、インド、オーストラリアが導入した中国の脅威をにらんだ4カ国の連携枠組み「QUAD(クアッド=英語で4の意味)」を、米国がいかに重視しているかを示している。勲章は、ホワイトハウスでオブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)から杉山晋輔駐米大使に渡されたが、関係者によるとオブライエン氏はその際、こんな趣旨を述べたという。

 

「自由で開かれたインド太平洋という考え方は、十数年前から安倍前首相が言ってきたもので、それがここまで大きな形になった。安倍前首相にトランプ大統領が賛同し、印豪が加わった。すべてはシンゾーから始まった。シンゾーのリーダーシップは素晴らしい」

 

また、オブライエン氏からは杉山氏に対し「元気になられたら、安倍前首相には日米関係、国際関係のためにまだまだ頑張ってほしいと伝えてほしい」といった話もあったという。

 

何とか安倍氏をたたこうとする暗い情熱が漂う朝日の一連の記事を読みつつ、米国と日本との国際情勢認識や政治を見る視座の隔絶に、ただ暗然とした。

 

筆者:阿比留瑠比(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

 

 

この記事の英文記事を読む

 

 

Rui Abiru is Editorial writer and political section editorial staff member.

Continue Reading
Click to comment

You must be logged in to post a comment Login

Leave a Reply