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尾身氏は科学的な根拠に則った発信を

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東日本大震災とそれに伴う東電福島第1原発事故が起きた10年前、韓国紙の東京特派員ら数人との会合に招かれた。ビールの中に、韓国焼酎が入ったショットグラスを沈めた「爆弾酒」を酌み交わしつつ意見交換をしたのだが、彼我の考え方の違いに当惑する場面があった。

 

「なぜ日本のメディアは、もっと放射能の危険性をあおらないのか」。彼らは口々にこう言い、日本のマスコミの報道姿勢に疑問を呈していた。「客観的な根拠に基づいて報じるべきだからだ」と反論したものの、納得は得られなかった。今回の東京五輪をめぐる韓国の報道を見ても、この手法は変わっていない。

 

韓国の団体が制作した東京五輪の「パロディー」というポスター

 

もっとも、事実を単純化したり、実態以上に不安や恐怖をあおり立てたりで俗受けを狙う扇情主義(センセーショナリズム)は、日本の報道でも珍しくない。自省も込めていえば、特に政治家やスポーツ選手ら著名人のスキャンダルについては、そんなに微に入り細をうがち書く必要があるのかと感じることが多い。

 

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だからこそ学者や各分野の専門家には、正確に科学的根拠にのっとり発信してほしい。「人流という意味で、五輪開催が人々の意識に与えた影響はあった」。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は8月12日、記者会見でこう述べたが、根拠は示さなかった。

 

尾身茂氏

 

尾身氏はこれまでも同様の発言をしてきたが、具体的に何を指しているのかよく理解できない。五輪開催期間中の人流は暑さも手伝い、東京都などで減少傾向がみられた。五輪番組の高視聴率から、多くの人が自宅で競技を観戦していたためなのは明らかだろう。

 

むしろ五輪開催が中止されていたら、退屈して気晴らしに出かける人で人流は増えていたのではないか。

 

 

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2021年8月14日付産経新聞【産経抄】を転載しています

 

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