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岸田政権の人権外交に対する二つの注文

Tsutomu Nishioka

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岸田文雄首相は、新設の人権問題担当首相補佐官に自民党の中谷元・元防衛相を任命した。中国共産党政府が行っているウイグル、チベット、南モンゴル、香港、法輪功、キリスト教徒などへのすさまじい人権侵害を黙認しないという、普遍的価値を共有する文明国としての姿勢を示す人事として評価したい。その上で、2つの注文を付けたい。

 

 

人権侵害制裁法を制定せよ

 

第1は、人権侵害を理由に制裁を発動する根拠となる人権侵害制裁法を早急に制定することだ。中谷氏が共同代表を務める「人権外交を超党派で考える議員連盟」は今年4月、米欧の主要国がすでに持っている人権侵害制裁法を我が国も早急に整備することを求めた。中谷氏は「日本だけ逃げていると思われないよう、口先だけでなく行動できる形をとるのが必要だ」と主張した。補佐官として同法制定に汗をかいてほしい。

 

関係省庁は人権侵害の認定が困難という理由などを挙げて制定に反対していると聞く。思い出すのは、2003年から対北朝鮮制裁を求める国民運動を本格化させた時のことだ。当時の外為法では国連安保理決議などを制裁発動の条件に挙げており、日本独自の判断で制裁を加える法的根拠がなかった。また、航海自由の原則があるので北朝鮮船舶の入港を禁止できないという役所の説明もあった。しかし、菅義偉氏(前首相)ら有志議員がその壁を打ち破り、議員立法で外為法を改正し、特定船舶入港禁止法を制定した。その結果、いま我が国は北朝鮮に安保理より厳しい制裁をかけており、拉致問題解決への圧力となっている。

 

 

歴史認識で中国に反論せよ

 

第2は、歴史認識問題への取り組みだ。今年に入り中国は、日本こそが戦前、ジェノサイドのような虐殺をしたとして、南京事件や慰安婦問題に関してとてつもない虚偽宣伝を繰り返している。中国外務省の華春瑩報道局長は3月25日、我が国政府が新疆ウイグル自治区の人権侵害に「深刻な懸念」を表明したことに対し、「日本は慰安婦問題という人道上の犯罪で言葉を濁している。彼らは人権を尊重していると言えるのか」「日本の侵略戦争で3500万人を超える中国人が死傷し、南京大虐殺で30万人以上が犠牲になった」と中国側の主張を改めて展開している。

 

9月18日に新華社が「『慰安婦』強制連行の極悪非道の犯罪行為を『水に流す』ことは許されない」という論評で、慰安婦の数を「70万余りに上る」と書いた。10月には、盧溝橋事件の日に新製品発表会をすると広告で発表したソニーに対し、中国政府が「国家の尊厳や利益を損なった」として罰金を科す出来事もあった。

 

国基研は近く「歴史認識に関する国際広報体制を強化せよ」という政策提言を出す。その中で「中国にも反論せよ。『戦前の日本はジェノサイドや人道に対する罪は犯していない』という事実を歴史広報の柱にせよ」と岸田政権に求める。人権と歴史認識の問題は切り離せない。岸田政権は安倍晋三政権以来設置されてきた歴史認識担当の補佐官も早急に任命すべきだ。

 

筆者:西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)

 

 

国家基本問題研究所(JINF)「今週の直言」第852回(2021年11月15日)を転載しています

 

この記事の英文記事を読む

 

 

Tsutomu Nishioka is a senior fellow and a planning committee member at the Japan Institute for National Fundamentals and a visiting professor at Reitaku University. He covers South and North Korea.

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