新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」 映画館でも上映

 

 

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」、大人気の内に一か月の興行が終了した。

 

人間と自然の関係がテーマのこの作品は世界でも有名なアニメ作品だが、今回歌舞伎化されたのはアニメで描かれなかった部分も含む全ストーリー、改めて原作コミック本7巻を読んでから観劇した方も多かったという。まじめで探求心豊かな日本人の側面がここにも垣間見える。

 

歌舞伎俳優尾上菊之助が5年前から考えていた念願のプロジェクトだが、彼は原作をしっかりと読み込み、かなり深い内容を含め長時間の芝居に仕上げた。歌舞伎の様式美が随所にちりばめられた意欲作に、ナウシカファン、歌舞伎ファン、それぞれ異なる反応を示していたことも興味深い。

 

以前にも書いた「NARUTO」もそうだが、「ワンピース」、今回の「ナウシカ」、近年コミックが原作の新作の歌舞伎が増えている。多くの国の人が知っている日本アニメが歌舞伎になるとこうなるという、新しい日本文化発見の場が提供されている。

 

400年以上の歴史を持つ歌舞伎は生きている。最近ボーカロイドとの共演も話題になっているが、各時代それぞれの観客の楽しい時間を創出する為に、能楽、人形浄瑠璃、落語、文学、コミックなどを取り入れ、新しい挑戦がずっと続いている。

 

日本の年末は本当に忙しい時期であり、その12月に劇場に9時間も留まれるのはごく限られた人である。チケット発売即完売という大人気で、観られなかった人が多く、「残念」という声が多かったところに、ディレイビューイングという、舞台映画の公開が発表され、特に東京以外の歌舞伎ファンからも歓声があがった。

 

2月14日から20日まで前編、2月28日から3月5日まで後編が、日本国内の映画館で上映される。生の舞台ではないものの却って役者の表情や舞台セットのディテイルが確認できる貴重な映像が見られるであろうし、より多くの人にナウシカ歌舞伎の良さを知って貰う良い機会だと思う。

 

ナウシカのメッセージと歌舞伎の様式美が融合した場面が、短くても良いので、歌舞伎芝居としての再演を期待したい。

 

筆者:渡辺幸裕(ギリークラブ代表)

 

 

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Yukihiro Watanabe

Author:

Yukihiro Watanabe, JAPAN Forward advisor, is the organizer of Gillie Club, a members-only club that offers a platform for cultural and social exchange and interactions among people with similar interests. He is also chief editor of Labunraku, a web portal supporting the traditional form of Japanese puppet theatre, Bunraku; a producer of events for novice Japanese culture enthusiasts; a visiting professor at Tama University Research Institute; and also serves as executive director for Ryori Volunteer No Kai (Food Volunteer Group), a foundation where member chefs visit disaster areas in Japan and serve food.  

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