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韓流ならぬ「朝流」推進 正恩氏が恐れる新世代封じ

Norio Sakurai

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が20、30代の新世代を統制するための対策を次々に打ち出している。韓国ドラマや音楽の拡散・視聴を禁じるのは無論、ソウル風の言葉遣いまで厳しく摘発する一方、都会の若者を精神鍛錬目的に地方の過酷な職場に送り出している。韓国ドラマなどを通じて資本主義文化に憧れを持つ世代が体制を揺るがすことを恐れているようだ。

 

 

チャンマダン世代

 

朝鮮中央通信によると、金氏は8月30日、都会から地方の炭坑や共同農場、島の集落など「困難で骨の折れる」生産現場行きを志願した若者らと会い、一人一人の手を握って激励した。1万人以上が志願したというが、実際はいや応なしに党に強いられた形だ。

 

北朝鮮で今回派遣対象になったような20、30代を「チャンマダン世代」と呼ぶ。チャンマダンとは1990年代後半の大飢饉(ききん)時代に闇商売で発達した市場のことで、配給制が崩れ、党への忠誠よりカネがモノをいう時代に育った世代を指す。中朝国境から流入した韓国ドラマを見て成長し、自由な資本主義文化に憧れを持つ世代でもある。

 

党機関紙、労働新聞は社説で、若者の地方派遣に絡み、「敵対勢力が執拗(しつよう)な思想・文化的浸透で青年らを変質させようとあがいている」と海外文化の流入への警戒感を示した。金氏は「立ち遅れていた青年が党と社会主義制度のありがたさを悟る」と言及。若者を外国文化に触れにくい地方に飛ばし、思想を鍛え直そうとの思惑がにじむ。

 

 

服装、髪形、言動も摘発

 

金氏は2011年の最高指導者就任以来、肝煎りの楽団に米欧式の音楽を演奏させるなど、西側文化に開放的な姿勢を見せてきた。韓米への対話攻勢に出た18年には韓国芸術団の平壌公演を夫人と鑑賞し、アイドルグループの曲などに満面の笑みで拍手を送った。

 

だが、19年の米朝首脳再会談が物別れに終わって以降は韓国文化の排除に転じる。今年4月に党幹部を集めた大会で金氏は「青年世代の思想精神状態で重大な変化が起こっている」と指摘。若者の服装やヘアスタイル、言動、人間関係も統制すべきだと主張した。

 

昨年12月には、韓国ドラマや音楽の流布に対する最高刑を死刑とした「反動思想文化排撃法」を制定。韓国の情報機関の報告によると、北朝鮮は、若い韓国女性が彼氏を呼ぶ際に使い、北朝鮮でも流行していた「オッパ」や「ナムチン」といった言葉遣いを禁じ、「ナムトンム(同志)」などの呼び方に改めさせているという。若者の思想統制強化が目的とみられる「青年教養保障法」を今月末の最高人民会議で採択することも予告している。

 

 

スターをプロデュース

 

一方、金氏お気に入りの女性歌手を国民的スターとして売り出そうと盛んにプロモーションを仕掛けてもいる。キム・オクチュ氏という30代とみられる実力派の女性歌手に金氏や党をたたえる新曲を歌わせ、韓流を意識したような斬新なミュージック・ビデオまで作ってPRしている。

 

7月には、金氏はキム氏がボーカルを務める演奏団のメンバーらに勲章などを授与。金氏がキム氏ら若いメンバーと密着して写った写真が話題となった。「韓流」に対抗し、北朝鮮の若者にもウケる「朝流」歌手を売り出す狙いのようだ。

 

金氏は、なぜここまで若者の変化に神経をとがらせるのか。労働新聞は最近の論説で「前世紀に各国で社会主義が崩壊したのは資本主義に惑わされた青年らが社会基盤を破壊する先頭に立ったからだ」と主張し、こう警鐘を鳴らしている。

 

「青年らが個人主義に基づく資本主義に汚染されれば、社会主義に反旗を翻す革命の敵になる」

 

北朝鮮が資本主義文化の力を何より恐れていることが読み取れる。経済制裁や新型コロナウイルス禍による経済難で若者の不満が高まるほど、体制側による若者への締め付けも一層強まることが予想される。

 

筆者:桜井紀雄(産経新聞ソウル支局)

 

 

この記事の英文記事を読む

 

 

Norio Sakurai is a correspondent of the Sankei Shimbun Seoul bureau.

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