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【主張】ロシアの原発攻撃 戦争犯罪にほかならない

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4日、ロシア軍の攻撃を受けたとみられるウクライナのザポロジエ原子力発電所
(同原発のユーチューブから、ロイター)

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狂気の沙汰である。ロシア軍の地上部隊がウクライナ南部に立地するザポロジエ原子力発電所に攻撃を加えた。火災が発生した。

 

ロシアのプーチン大統領は部隊に対し即刻攻撃停止を命じるとともに、部隊を消火と損傷箇所の回復作業に当たらせるべきだ。

 

ザポロジエ原発には出力100万キロワットのロシア型加圧水型原子炉(VVER)6基が並ぶ。ウクライナには現役の原子力発電所が4カ所あり、ザポロジエ原発は同国最大だ。

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国際原子力機関(IAEA)に入った連絡によると、多数のロシアの戦車と歩兵部隊がバリケードを突破して同原発に侵入したという。現地からの映像には、発電所付近での閃光(せんこう)と煙が立ち上る様子が捉えられている。

 

日本時間の4日正午頃の時点で放射線量の増加は確認されていない。破壊されたのは中枢施設ではないとされるが、原発やその近傍に対する物理的攻撃は危険きわまりない蛮行である。

 

ザポロジエ原発のVVERは旧ソ連時代の着工だが、欧米並みに格納容器は備えている。しかし砲弾などで原子炉容器もろとも破壊されると放射能漏れが起こり、風向き次第で欧州全土がセシウムやストロンチウムなどの核分裂生成物によって汚染される。

 

武力紛争に関わるジュネーブ条約でも一般人の犠牲を防ぐために原発への攻撃は固く禁止されている。その国際常識をロシア軍は戦車と軍靴で踏みにじった。ロシアの最高責任者たるプーチン氏の戦争犯罪にほかならない。

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ロシアのプーチン大統領 (Sputnik/Mikhail Metzel/Pool via REUTERS.)

 

ザポロジエ原発を攻撃した目的は、欧州2位の原子力利用国であるウクライナの電力インフラ潰しにあるとみられる。

 

ロシア軍は先月24日に首都キエフの北約110キロにあるチェルノブイリ原子力発電所(全4基が廃炉中)を制圧している。

 

プーチン氏は戦術核兵器の使用もあり得るとの威嚇を繰り返しているが、両原発を標的にした作戦は戦術核の戦線投入に限りなく近い。越えてはならない一線上に足を乗せた状態だ。

 

翻って世界は脱炭素社会の構築に向けて原子力発電の活用に舵(かじ)を切ったところである。ロシアの行いは原発回帰への健全な流れを妨げかねない。プーチン氏はいつになったら正気を取り戻すのか。

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2022年3月5日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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