~~
政府がロシア軍によるウクライナ侵攻が発生した場合に備え、独自の対露制裁について検討に入ったことが5日、分かった。ウクライナ国境付近にロシア軍が大規模展開して緊張が高まっており、日本としても主要7カ国(G7)と足並みをそろえる形で対応する方針だ。複数の政府関係者が明らかにした。
外務省や経済産業省、内閣官房などが中心となって制裁メニューをリストアップしている。ロシアが常任理事国を務める国連安全保障理事会で制裁決議を採択することは不可能なため、日本独自の制裁となる。
2014年にロシアがウクライナ南部クリミア半島を併合した際も、日本政府はG7と歩調を合わせて対露制裁を行っている。クリミア併合の際はクリミア産品の輸入制限などロシアに実害がない内容に限定されたが、首都キエフなどに対する本格的な侵攻があった場合は「実効的な制裁が必要になる」(首相周辺)として、より厳しい制裁を科す方針だ。
政府が対露制裁に前向きな姿勢を示すのは、ウクライナ侵攻に厳しい措置を取らなければ「法の支配」を基調とした国際秩序維持を目指す外交方針と矛盾するためだ。インド太平洋地域における台湾や尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる中国による一方的な現状変更の試みに反対する立場に対し、欧州諸国の支持を得る上でもウクライナ情勢でG7と共同歩調を取る必要がある。
米政府はウクライナ侵攻に対し、金融制裁や輸出規制を柱とした対抗策を検討している。岸田文雄首相は先月21日にバイデン米大統領とテレビ電話形式で会談した際、ウクライナ侵攻に「強い行動」を取ることを確認した。日米外交筋によると、外交ルートで双方の制裁メニューについて協議しているという。