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■日本の考え示し、国際ルール作り参画を
小林鷹之経済安全保障担当相は7日、産経新聞の単独インタビューに応じ、来年末に改定する外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略(NSS)」に、経済安保の考え方を位置づけることの重要性を強調した。岸田文雄首相は6日の所信表明演説でNSSを来年末に改定する方針を示している。平成25年に策定されたNSSには経済安保分野の記載がなかった。
小林氏は経済安保の方向性として、(1)日本の経済構造の自律性(2)技術の優位性(3)国際秩序の維持・強化-の3項目を挙げた。経済や先端技術分野で米中の覇権争いが激化する現状を踏まえ、「日本の強みを磨き、国際社会の中で立ち位置を強化する必要がある」と強調した。
また、「米欧や中国など他国の個別の動きに右往左往するのではなく、日本としての基軸を持つことが重要だ」とも訴えた。
首相は経済安保を看板政策の一つに掲げており、政府は来年の通常国会に(1)サプライチェーンの強靱(きょうじん)化(2)重要インフラの安全性確保(3)先端技術の育成・保全(4)特許の非公開-の4分野を柱とする推進法案を提出する方針。
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-経済安全保障担当相就任前から経済安保政策に関わってきた
「税金を投じて育成した日本の先端技術などが合法的に海外企業に買収され、人材を引き抜かれ、サイバー攻撃で情報が持ち出される。そうした危機に国の関与が不十分だとの認識を持ったことがきっかけだ。より広く経済的な側面から安保を考える視点がないと、国民の命と暮らし、国益を守り切ることはできない」
-政府は推進法案を来年の通常国会へ提出することを目指している
「有識者会議を立ち上げて検討が始まっている。サプライチェーンの強靱(きょうじん)化をはじめとする4つの柱を中心に検討を進め、法整備を急ぎたい」
-経済安保について、来年末をめどに見直しを目指す国家安全保障戦略にどう盛り込むか
「国家安保戦略を改定する際に、基軸となる日本の考え方を示したい。日本としての考えが明確に示されなければ、他国との連携を考える上でも単に日本が追随する格好となってしまう。日本の先端技術や経済分野の脆弱(ぜいじゃく)性を解消し、強みを磨き、日本が主体的に国際的な秩序やルール作りに参画していくことが重要だ」
-経済界からは、経済安保が経済活動の規制につながるのではとの懸念もある
「有識者会議のメンバーには、経団連など経済界関係者も含まれる。規制対象の明確化など、民間の意見に配慮しながら制度設計を進めることが極めて重要だ。認識の共有なく進めたら機能しなくなってしまう」
-中国共産党など日本の安保上の脅威につながる研究者に研究資金が渡るのを防ぐ手立てはあるか
「特定国を念頭に置いていない。研究の健全性や公正性を確保する『研究インテグリティー』をめぐるガイドラインを年内をめどに改定する。現在も政府として研究者や研究機関などに対して情報開示を呼びかけているが、虚偽報告には何らかの措置を取るなどの対応を明記していきたい」
聞き手:岡田美月(産経新聞)