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林外相の米空母視察に同行 F35C離着艦、轟音響く

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空母の後方から何の前触れもなく姿を現す戦闘機が、艦橋すれすれを通り過ぎる。戦闘機が離着艦するたびに轟音(ごうおん)が響き渡り、甲板の上には白い煙が立ち上った。林芳正外相が4月23日に行った米海軍の原子力空母視察に同行した。

 

林氏がエマニュエル駐日米大使とともに4月23日に視察したのは、米原子力空母「エーブラハム・リンカーン」。世界最大級の米海軍ニミッツ級空母で、現在は太平洋上に展開している。日本の外相が米空母に降り立つのは約12年ぶりだ。

 

米原子力空母「エーブラハム・リンカーン」を視察する林芳正外相

 

林氏らとともに、記者団も米海軍厚木基地(神奈川県綾瀬市など)から輸送機MV22オスプレイに乗り込んだ。フライトギアと呼ばれる装備を身に着け、耳当てとゴーグルが付いたヘルメットをかぶる。飛び立ってから1時間ほど飛行すると、機内に潮風が流れ込んできた。

 

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やがてオスプレイはプロペラの回転軸をヘリコプターのように立て、垂直に甲板に着陸。甲板に降り立つとプロペラからの強風を全身に浴びた。飛び立つオスプレイを見上げようとしたが、離陸時はプロペラの回転速度が上がるため、強い風にあおられて尻餅をついた。

 

 

エーブラハム・リンカーンを中心とする第3空母打撃群を率いるのはアンダーソン司令官だ。「皆さん聞こえますか」。親指を立てるポーズをしながら記者団に声をかけ、機敏に場を仕切る姿はイラク戦争など歴戦をくぐり抜けてきた自信に満ちていた。8日から海上自衛隊と日本海で行った日米共同訓練については「われわれの鉄壁のコミットメントを表すための訓練だ」と語った。

 

視察後の林、エマニュエル両氏の共同記者会見は甲板下の艦内で行われた。甲板ではF35Cステルス戦闘機などの離着艦訓練が続けられており、轟音で発言がかき消され、何度も中断を余儀なくされた。

 

「私が市長だったときには、何度かこれを使えたんだよ」

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シカゴ市長を務めた経歴を持つエマニュエル氏は、記者会見が再開されると、轟音すさまじい戦闘機を指して、ジョークを飛ばし笑いを誘った。もちろん、内陸のシカゴには戦闘機を載せた空母などない。しかし、周囲を和ませる場面はここまでだった。会見では、力による現状変更を試みる中国への対抗心をむき出しにする場面が目立った。

 

エマニュエル氏は共同記者会見で、中国を念頭に置いた枠組み「クアッド」を構成する日米豪印のほか、韓国やフィリピン、ニュージーランドも挙げて「中国にはわれわれが頼りにしているような友好国や同盟国はいない」と言い切った。

 

第7艦隊のトーマス司令官

 

空母には米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を拠点とする第7艦隊のトーマス司令官の姿もあった。第7艦隊は西太平洋・インド洋を担当するが、ロシアによるウクライナ侵攻もトーマス氏の頭から離れないようだ。「われわれはある国が好戦的で国際的な法の支配に従わずに、主権を持つ独立した国家を侵攻するとき、自由世界の強さと力が結集するのを目の当たりにしてきた」と語った。

 

そして、「ロシアは大国で太平洋側にも艦隊がある。われわれは常にロシアの動きを監視している」と強調した。

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視察を終えた林氏らを乗せたオスプレイが空母を飛び立つときには、「今度は転ぶまい」とばかりに甲板備え付けのハンドルを両手でつかみながらしゃがみ込んで見送った。ただ、その両手は戦闘機の離着艦で付いた油で真っ黒に汚れていた。

 

筆者:岡田美月(産経新聞)

 

 

米第7艦隊トーマス司令官へのインタビュー記事を記事で読む

 

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