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【主張】主権回復70年 占領の呪縛を解くときだ ウクライナの悲劇から学べ

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サンフランシスコ平和条約に調印する吉田茂首相
=1951年9月(共同)

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昭和27年4月28日にサンフランシスコ講和条約が発効し、日本が主権を回復してから70年の節目を迎えた。

 

主権は、自国の進む道を他国に干渉されずに決していく独立国の証(あかし)だ。それがいかに大切であるかは、ロシアによるウクライナ侵略を見れば一目瞭然である。ウクライナ国民は祖国の自主独立、すなわち主権を守るために、侵略者に対して立ち上がった。

 

国際法上、講和条約の発効によって戦争は最終的に終結する。日本の戦後が本当に始まった70年の節目であるにもかかわらず、主権回復の意義が十分には理解されていないのは残念である。

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日本国憲法

 

実は過酷だった「占領」

 

日本では、主権を失って連合国軍総司令部(GHQ)の言いなりになるしかなかった占領期の6年余と主権を取り戻した70年間を同じようにとらえる向きが多い。それこそが占領の呪縛である。

 

GHQの指令は日本の政治や経済、社会の隅々にまで及んだ。政府と国会はあっても自主性はなかった。GHQの意向に反するものは認められなかった。

 

教科書は墨塗りされた。新聞、出版、映画、放送などのメディアは検閲を受けた。しかも検閲制度への言及さえ禁じられた。報道、言論が統制された占領下の日本に自由はなかった。

 

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敗者を事後法によって断罪した東京裁判の弊害は今に及んでいる。日本の立場を全く顧みず、連合国側に都合のいいように歴史が書き換えられ、自虐史観が植えつけられた。

 

憲法とは、主権があってはじめて制定、改正されるべきものであるのに、GHQ側は「天皇の一身の保障はできない」という究極の脅し文句をつかい、米国人スタッフがわずか1週間で作った草案を押し付けてきた。主権喪失の中で作られた現憲法を日本国民は主権回復から70年たっても改正できないでいる。

 

70年前の主権回復後も、沖縄や奄美群島、小笠原諸島では米軍の統治が続いた。沖縄をめぐって、本土と切り離された主権回復の日を「屈辱の日」と難ずる人もいるが、見当違いといえる。

 

サンフランシスコでの講和条約受諾演説の際、吉田茂首相(当時)は、沖縄の主権は日本に残されたとして「一日も早く日本の行政の下に戻ることを期待する」と明言した。

 

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米国は当初、沖縄を日本から切り離し、信託統治領にしようとしていた。講和条約にも、米国が望めばいつでも信託統治領にできる条文が盛り込まれた。

 

だが、日本政府が懸命に巻き返し、沖縄の潜在主権を世界に認めさせた。政府は沖縄返還を諦めず、講和条約発効から20年後の昭和47年に、沖縄は本土復帰を果たした。

 

「日本国憲法のあり方を考えるシンポジウム」のパネルディスカッションで議論する安倍晋三元首相=4月21日午後、東京・有楽町(飯田英男撮影)

 

抑止力構築し日本守れ

 

主権は回復したが、いまだ完全ではなく、その上、今も脅かされている点も銘記すべきだ。

 

主権が及ぶべき北方領土と竹島はロシアと韓国に不法占拠されたままだ。北朝鮮による日本人拉致も重大な主権と人権の侵害だが、解決されていない。

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さらに、中国が沖縄の島を奪おうとしている。日本は尖閣諸島を実効支配しているが、周辺海域では中国海警局船が徘徊し、領海侵入を繰り返している。地理的に近いことから日本有事に直結しかねない台湾有事も懸念される。

 

ウクライナは対露抑止に失敗してしまった。防衛力が弱いとみなされて侵攻された。政府と国民が主権が及ぶ領土・領海・領空を守り抜く意志を示し、態勢を整えておくことが抑止力になる。ウクライナの悲劇から学ぶ点は多い。

 

日本の学校教育では、国民主権は何時間もかけて教える一方で、国の主権の大切さは授業でほとんど扱われていない。近年の教科書検定でようやく北方領土や竹島、尖閣諸島が「固有の領土」と記されるようになったが国の主権と絡めた領土防衛の視点は皆無だ。

 

日本には国に冷淡すぎる「知識人」が存在し、それが進歩的とみなされる時期さえあった。彼らは日本を守ろうとして亡くなった人々を祀(まつ)る靖国神社への公人の参拝を批判してきた。

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これではいけない。主権回復の70年の節目に、領土を守り、自由で独立した、主権を持つ日本を子孫へ引き継いでいく大切さに思いを馳(は)せたい。

 

 

2022年4月28日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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