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猫が30歳まで生きる日

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獣医師の須田沖夫さんによると、昭和50年代半ばの犬の平均寿命は3~4歳だった。10年後には10歳前後となり、平成10年には14歳に達した。犬の心臓に住みつく寄生虫フィラリアを駆除できるようになったのが、主たる理由とされる。

 

昭和62年に発売が始まった治療薬「イベルメクチン」のおかげである。やがてアフリカを中心に広がる人間の熱帯病「河川盲目症」にも効くことがわかった。この薬の服用で救われた人は年間3億人にも達したといわれる。開発した大村智さんが7年前にノーベル医学・生理学賞を受賞したのは、記憶に新しい。

 

猫もフィラリア症にかかる。ただそれより恐ろしいのが腎臓病である。10歳前後の猫の3割近くにみられ、高齢の猫の死因の1位を占めてきた。東京大で治療薬の開発に当たってきたのが、免疫学を専門とする宮崎徹さんである。

 

AIM医学研究所で研究を進める宮崎徹さん=東京都新宿区(宮崎徹さん提供)

 

自身が発見した、多くの動物の血液中に存在するタンパク質「AIM」を活用する。死んだ細胞など体の中のゴミを掃除して、腎臓を保護する働きがあるという。ところが実用化を目前にして、コロナ禍によって協力を約束していた企業が資金を提供できなくなった。

 

昨年夏に時事通信のインタビューで窮状を訴えると、猫の飼い主から問い合わせが殺到した。3億円もの寄付が集まり、大きな話題になったものだ。その宮崎さんが東大を辞めて、薬の開発に専念していることを昨日の小紙の記事で知った。

 

もともと内科医だった宮崎さんは、ヒトの腎臓病やアルツハイマー型認知症の治癒をめざしてきた。ただ当面は、愛猫家の悲願をかなえるのが先決だ。今年の終わりには、猫薬の治験に入る。昨年出した著書の題名は、『猫が30歳まで生きる日』だった。

 

『猫が30歳まで生きる日』

 

 

2022年5月2日付産経新聞【産経抄】を転載しています

 

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