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【主張】安倍氏の死去 卑劣なテロを糾弾する 計り知れぬ大きな損失だ

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新元号「令和」の書を傍らに、記者会見する安倍晋三首相
=2019年4月1日、首相官邸(代表撮影)

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民主主義の根幹をなす国政選挙のさなかに、安倍晋三元首相がテロリストの凶弾に倒れた。

 

暴力で政治家の生命を奪い、言論を封殺しようとするテロリズムは民主主義に対する悪質な挑戦であり、絶対に認められない。民主主義国の現代日本で、このような卑劣極まりない犯行があってよいものか。

 

産経新聞社は蛮行を最大限の言葉で糾弾するとともに、志半ばで倒れた安倍氏を心より追悼する。

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奈良市内で参院選の街頭演説をしていた安倍氏が、背後から近づいてきた男に銃撃された。搬送先の病院で懸命の救命措置がとられたが、かなわなかった。

 

テロ直後に逮捕された容疑者は、安倍氏に不満があり、殺そうと思ったと供述しているという。このような短絡的で身勝手、粗暴な発想には身の毛がよだつ思いがする。

 

議会制民主主義は、国民を前にした言論の競い合いによってのみ進められるべきものだ。それが破られれば、国家、社会の土台となる道義も秩序も大きく損なわれてしまう。

 

テロが繰り返されるようになれば、日本は大変なことになる。捜査当局は、容疑者の動機や背景の有無を徹底的に解明するとともに、テロの未然防止に全力をあげてもらいたい。

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安倍氏への銃撃を許してしまった警備体制にどのような問題があったのか、検証が必要で、それを警備強化に生かすべきだ。

 

奈良市で街頭演説に臨む安倍元首相。事件を起こす前の山上徹也容疑者(右から2人目)=7月8日午前

 

参院選投開票日が迫っている。日本の民主主義を守るために、選挙活動を含め参院選を貫徹することが欠かせない。

 

テロ発生を受け、岸田文雄首相は遊説日程を切り上げ、帰京して対応にあたった。自民党などは役員らの応援演説を中止した。

 

選挙戦最終日の9日は有権者への運動が整然と行われなくてはならない。

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自民党の茂木敏充幹事長は暴力に屈することなく、9日は選挙戦に取り組むと表明した。他の党も同様の方針だ。

 

岸田首相が参院選での警護徹底を指示したのは当然だ。模倣犯が現れる恐れはある。警備を全国で強化してもらいたい。

 

安倍氏が、大きな治績を残した政治家であることは強調してもしきれない。

 

憲政史で最長の首相在任記録を打ち立てたことが理由なのではない。

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平成24年衆院選で勝利して旧民主党から政権を奪還し、異次元の金融緩和などのアベノミクスで雇用情勢を大きく改善させ、経済立て直しに成果をあげた。

 

左派・リベラル勢力から猛反発を受けながら、憲法解釈を改め、安全保障関連法を制定して限定的な集団的自衛権行使の道を開いた。日米は守り合う関係となり同盟の信頼と抑止力は格段に高まった。

 

安倍氏の決断がなければ日本は北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の軍事的台頭に対応できなかっただろう。米中新冷戦に先立ち、激変する安保環境に備える基盤を造った功績は計り知れない。

 

「自由で開かれたインド太平洋」を提唱し、日米欧諸国の基本戦略となった。日本の首相として初めて、世界平和、国際秩序の擁護者と目された。地球規模の存在感を示し、日本の国際的地位を向上させた。

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上皇陛下から今上陛下への、およそ200年ぶりの天皇の譲位となる令和の御代替わりを支えた。

 

首相退任後は体調を整え、自民党最大派閥のリーダーとして活発に働いてきた。防衛費増額や反撃能力の導入、核抑止力のタブーなき議論など国民を守る具体的政策を唱えていたさなかの安倍氏の突然の退場は、日本にとって大きな政治的損失である。

 

 

2022年7月9日付産経新聞【主張】を転載しています

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