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柔道・井上康生氏「団体戦の魅力と国際支援の広がり」

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世界に贈る柔道衣に添えるJUDOsフラッグに
サインする井上康生理事長

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Japan Forward読者の皆さん、こんにちは。

 

7月も半ばを過ぎ、日本の学校では夏休みを迎えようとしています。世界の柔道シーンでは、先月から2024年パリ五輪出場へ向けての予選期間が始まり、世界各地で選手たちがしのぎを削っています。日本も各大会に選手を送り込み、試合経験を積みながら選手強化を図っています。

 

私が理事長を務めるNPO法人JUDOsも夏を前に活動を活発化させています。特に盛んなってきているのが、日本から海外に渡航する方に柔道衣を運んでいただくスペシャル・プロジェクトです。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックとロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響による世界的な物流停滞のため、私たちの基幹事業であるリサイクル柔道衣・柔道畳寄贈も思うように進んでいませんでした。しかし、この事態を打開するため、海外を訪れる方に柔道衣を運んでいただくこととしたのです。

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ポーランドに柔道衣を運んでくださった阿久津岳生さん。柔道衣は43着、重さにして約50kgにもなった

 

その記念すべき第1号となったのがポーランドです。同国内の柔道クラブに、ウクライナから避難してきた方たちが通い始めているという情報を入手したことから、ぜひ避難民の皆さん——とりわけ子どもたち——に柔道衣を届けようということになりました。そこで、ポーランドに避難民支援のボランティアに入るという阿久津岳生(AKUTSU Takeo)さんにお願いし、柔道衣43着を運んでいただきました。ダンボール2個、約50kgにもなった荷物をお一人で運んでいただいたのですが、これを見事成功させてくださいました。

 

デンマークに柔道衣を運んでいただいたのは山下稜太・千晶夫妻。コペンハーゲンの空港でヘンリック・ヘミングセンさんに柔道衣を手渡した

 

これを機にプロジェクトの本格化を決定し、その後、デンマーク、フランスにも柔道衣を運んでいただき、ポーランド同様、ウクライナ避難民の方たちに届けることができました。遠く離れた日本からできることは限られていますが、戦火を逃れてきた皆さんが、柔道をすることで少しでも楽しい時間を過ごしていただけるよう、これからも私たちにできることをしていきたいと思っています。

JUDOsから寄贈した柔道衣を着たウクライナから避難してきた子どもとヘンリックさん

 

団体戦の魅力

 

さて話は変わりますが、6月末に日本で行われた全日本学生柔道優勝大会についてもお伝えしておきたいと思います。

 

これは大学生の団体日本一を決める大会で、男子は7人制、女子は5人制と3人制で争われます。男子の場合、体重無差別で各チーム 7 名の点取り式によるトーナメント戦で争われ、試合ごとの選手選出・配列は自由です。ですから、次はどんな選手がどの順番で出てくるのか、試合直前にならなければわかりません。そのうえ、体重差を活かした戦術や駆け引きがあり、団体戦ならではの大逆転劇も生まれます。個人戦とはまったく違う面白さがあるのです。

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柔道の全日本学生優勝大会決勝の代表戦で、国士舘大学の斉藤立選手(左)をせめる東海大学の村尾三四郎選手=6月26日、日本武道館(共同)

 

今年の決勝は、東海大と国士舘大の対戦となりましたが、本戦では勝負が決まらず、代表選手による決定戦にもつれ込み、東海大の村尾三四郎選手(MURAO Sanshiro)が国士舘大の斉藤立選手(SAITO Tatsuru)を16分18秒もの激戦の末に破り、東海大に栄冠をもたらしました。村尾選手は身長180 センチ・体重95キロ、斉藤選手は191センチ・170kgと、体格では圧倒的に不利だった村尾選手が、それを見事はねのけました。相手の得意な組み手にさせなかった冷静な判断と技術、厳しい練習で培ったスタミナ、そしてチームのために勝つという強い気持ちが勝利を呼び込んだと言っていいでしょう。「小よく大を制す」という武道の理想のひとつを体現したと言えます。まさに、体重無差別の団体戦の魅力が凝縮されたような試合でした。一方の斉藤選手も、破れはしましたが、ケガを抱えながらも、気持ちのこもった素晴らしい試合を見せてくれました。彼らはこれからの日本を担う選手です。両者の今後の成長が非常に楽しみです。

 

このように団体戦には、個人戦にはない魅力がたくさんあります。私自身、高校、大学で団体戦を数多く経験し、たくさんのことを学ばせてもらったひとりとして、団体戦の面白さをもっと多くの人たちに知っていただく努力をしていきたいと思っています。

 

筆者:井上康生(柔道家)

 

 

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