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「敵性外国人」だった曾祖父 日系4世が日本人精神継ぐ

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日本へ移住した日系4世、スティーブ・サカナシ氏(本人提供)

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米国籍を持つ日系4世のスティーブ・サカナシさん(36)は8年前、日本に移住し、日米の懸け橋になろうと奔走している。曾祖父の故郷に戻る決断を後押ししたのは、先の大戦で米政府当局から「敵性外国人」とみなされ、強制収容所暮らしを強いられても、耐えた曾祖父らの「日本人」のスピリッツだった。曾祖父の渡米から100年余り。「『日本人』として誇りに感じる」と語る。

 

米FBIにスパイ容疑をかけられる前の曾祖父、ケンゾー・サカナシ氏=1933年、米カリフォルニア州(スティーブ・サカナシ氏提供)

 

「危険な敵国人物」

 

スティーブさんが取り寄せた先の大戦中だった1942年の文書によると、米連邦捜査局(FBI)は当時、スティーブさんの曾祖父、ケンゾーさんをスパイ容疑で逮捕した。米国で生計を立てるため、1906年に熊本県から農業労働者として渡米したが、なぜかスパイ容疑が浮上した。

 

理由は、ケンゾーさんがFBIの約100問にわたる聴書で、日系人同士の相互支援などを展開する米国の「日本人会」に所属したと回答したからだ。当時のFBIは、日本人会が在米日本大使館と結託して旧日本軍への入隊リストを作成したり、日本側に寄付をしたりする反米組織と認定したとみられるからだ。

 

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ケンゾーさんが移住前、東京都内の教育機関で4年間、高等教育を受けたことも判明。FBI側は米国で貧しい農業労働者にふんするなど「米政府をだました」と断じ、こう説明していた。「(被告人は)日本の美徳や政府方針に深く心酔しており、本人の高い能力を鑑みれば、米国にとって危険な敵国人物になりうる」

 

疑いを晴らすため、スティーブさんの祖父、タケシさんらは「父は米国のため、息子2人を戦地に送る覚悟だ」などと記した嘆願書を提出した。実際、祖父の兄のケンイチさんは大戦中、日系人部隊の陸軍第442連隊に所属し、戦争で戦ったという。

 

だが、ケンゾーさんは約2年間、ノースダコタ、ニューメキシコ両州の強制収容所に送られ、家族と離れ離れに。ようやく再会できたのは、皮肉にも別の強制収容所だった。

 

日系人部隊の陸軍第442連隊に所属し戦った大叔父、ケンイチ・サカナシ氏=1944年ごろ撮影(スティーブ・サカナシ氏提供)

 

戦時下とはいえ、理不尽な扱いを受けていた過去を知ったスティーブさんは憤る。「いくら米国に忠誠を誓っても、強制収容所に家族を押し込む国のために、なぜ、日系人は命がけで戦地に飛び込んだのか。しかも祖国の兵士たちを相手に…」

 

疑問に答えたのは日系2世で退役軍人のジョージ・モリヒロさんだった。スティーブさんに「家族を収容所から出すため。そして、生まれ育った母国、米国のためだよ」と諭した。

 

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戦う相手が祖国の日本兵だとしても、米国の犠牲になることで、米国は日系人家族を傷つけず、強制収容所から解放してくれるかもしれない-。そう信じて戦地にむかったという。

 

 

日系人としての誇り

 

異国の地で過酷な人生を過ごした先代たちの心に触れたスティーブさん。生まれも育ちも米国だが、「日本人には自分を犠牲にしてでも何かを人のために尽くし、何かを与えようとする気高さがある。尊い価値観を持つ日本人の血を引く日系米国人として、生きる喜び、そして誇りを感じずにはいられなかった」。

 

2014年、妻と日本への移住を決めた。

 

その後、世界で活躍する若手起業家を育成するNPO法人を設立。現在は、採用企業が独自の求職者データベースの構築などを行う「ダイレクトソーシング」を支援する、ソフトウエア提供会社「マッチボックステクノロジーズ」(本社・新潟市)の幹部に就任。米国のデジタル技術などを日本へとつなぐ架け橋として奔走する。

 

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いずれは日本のために尽くしたいと考えていた父の夢も、祖国への移住を後押しした。

 

終戦から77年を迎えた令和の時代。サカナシ氏は確信している。「国籍は米国だが、自分が自分らしくいられる国は日本だ」

 

筆者:植木裕香子(産経新聞)

 

 

この記事の英文記事を読む

 

 

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