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日本人戦没者の遺留品返還活動 米ネットオークション高騰〝逆風〟に

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キセキ遺留品返還プロジェクトが入手し遺族に返還した
旧陸軍伍長の遺留品のノート(本田賢一撮影)

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新潟県小千谷市出身で昭和19年に戦死した旧陸軍伍長の遺留品のノートが8月上旬、78年ぶりに同市に住む遺族に返還された。日本人戦没者の遺留品を日本の遺族に届ける活動をしている米イリノイ州のNPO法人「キセキ遺留品返還プロジェクト」がインターネットオークションに出品されていたものを入手し、届けた。キセキによると、米国のネットオークションでは最近、遺留品の価格が高騰し、プロジェクトにとって〝逆風〟になっているという。背景には何があるのか。

 

 

増える出所不明

 

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キセキでは、米国在住のジャガード千津子代表が私財を投じて、日本人戦没者の遺留品を入手し、日本の遺族に届けている。対象は、戦没者が所持していたと思われる写真や寄せ書きのある日章旗、日誌などのうち、住所、氏名などが記載され、遺族を探すことが可能なものだ。

 

ジャガードさんによると「ネットオークションには、日本人戦没者の遺留品が数多く出品されている。別のコレクターや古物商から買ったものを出品したり、遺産整理をしている家から出てきたものを出品したりしている」という。

 

当初は、戦地から遺留品を記念品として持ち帰った人が出品するケースが多かったため、誰が、いつ、どこから持ち帰ったのかはっきりと分かるケースが多かった。ところが最近は、戦後77年の間にコレクター間で売買が繰り返され、出所が分からなくなっているものが多くなっているという。そうした遺留品は遺族への返還も難しい。

 

特に最近では、日本から米国のオークションサイトに遺品が出品されるケースもあり、ジャガードさんは心を痛めている。

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コロナ禍で高止まり

 

米国のネットオークションでは、日本人戦没者の遺留品の価格が新型コロナウイルス禍の前と比べて2~3倍に上がり、その後高止まりが続いているという。その理由をジャガードさんは次のように指摘する。

 

「感染拡大を受け、米政府は2020年から21年にかけて、国民に生活補助金を3回支給した。コロナ禍で旅行や外食などに補助金を使うこともできず、若者を中心に株式などへの投資熱が高まった。投資対象の一つにネットオークション上で売買されている日本人戦没者の遺留品があり、落札した後に高く転売してもうけようとしているようだ」

 

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「キセキ遺留品返還プロジェクト」のジャガード千津子代表(本人提供)

 

鎮魂への思い

 

ジャガードさんは私財を投じて遺留品を入手しているだけに、価格高騰は遺留品返還活動の〝逆風〟になる。それでも、活動の歩みを緩めるつもりはない。

 

「戦没者の魂が宿った遺留品を遺族に返すことは、戦没者の鎮魂になるとともに、遺族に安らぎを与えると思っている。実際、遺留品を受け取った方々は喜んでくださる。それが私たちの活動の推進力になる。(遺族の高齢化が進み)私たちには時間的な猶予がない」とジャガードさん。

 

キセキの活動の源流となった米オハイオ州の医師、加治安彦氏は昨年12月、88歳で他界した。その遺志をしっかりと引き継ぎ、ジャガードさんは価格高騰の中でも活動を続けている。

 

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キセキ遺留品返還プロジェクト
米イリノイ州登録のNPO法人。1971年、オハイオ州在住の医師だった加治安彦氏が、私財を投じて日本人戦没者の遺留品を収集し、日本に返還したのが始まり。協力者が増えていき、活動50周年に当たる2020年、NPO法人化した。現在、メンバーは米国に3人、日本に5人、中国に1人の計9人。他にサポーター2人。

 

 

遺族の元に返還された旧陸軍伍長の遺留品「出張日誌」の1ページ目。出発の日時などが記載されていた(本田賢一撮影)

 

【記者の独り言】
キセキ遺留品返還プロジェクトでは、ネットオークションに出品されている日本人戦没者の遺留品を日々チェックし、遺族を探す手がかりがあるものを落札。日本国内のメンバーが各地の護国神社や遺族会の協力を得て遺族を探し、遺留品を返還している。今年8月7日、新潟県小千谷市出身の旧陸軍伍長の日誌(A5判ノート)を返還し、遺族は「言葉が出ない」と深い感銘を受けた。戦後77年、キセキの活動に終わりはない。

 

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筆者:本田賢一(産経新聞)

 

 

2022年9月3日付産経新聞【深層リポート】を転載しています

 

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