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理想は「審判いた?」と思える試合 サッカーW杯初の女性審判、山下主審がすごい

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W杯カタール大会で初の女性審判員に選ばれた山下良美主審
色紙に「全力を尽くします!!」と意気込みをしたためた
=千葉県千葉市

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11月のサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会開幕まで100日を切った。8強入りを目指す森保ジャパンとともに活躍を誓う、〝日本代表〟がいる。W杯史上初となる女性審判員6人のうちの1人に選ばれた、山下良美主審(36)。大舞台での大役を見据え、「日に日に責任の大きさを感じている。後悔のないよう、できることを逃さず取り組んでいきたい」と意気込んでいる。

 

一つにまとめた髪をなびかせ、さっそうと男子選手の間を駆け抜ける姿もおなじみになった。2019年女子W杯を経て、昨年5月にJリーグ公式戦で女性初の主審を担当。4月のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)でも女性として初めて笛を吹き、5月に「夢にも思えないような夢」だったW杯行きの朗報が届いた。

 

愛用の笛「バルキーン」を手に、笑顔の山下良美主審=6月27日、千葉県千葉市

 

東京都中野区に生まれ、2歳上の兄の影響で幼少期からサッカーの魅力に取りつかれた。東京学芸大時代、先輩の坊薗(ぼうその)真琴さん(42)に半ば強引に誘われて、審判員に挑戦した。当時は「審判をやりたいなんて、とても思っていなかった。『(服装の)黒い人』という印象だった」と笑い飛ばす。

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大学卒業後もプレーヤーと並行して審判員を続け、10年秋にはなでしこリーグ副審を担当できる2級資格を取得。日本女子のトップリーグに関わり、「うれしさと同時に責任を感じ、審判という役割に向き合っていかなければ」という思いが芽生えた。審判員として生きていく覚悟を決めた。

 

2019年6月、女子ワールドカップで笛を吹く山下良美主審=グルノーブル(ゲッティ=共同)

 

国際審判員に登録された15年ごろから、短距離専門のコーチをつけて走力強化に着手した。フォームを一から見直し、正しい筋力トレーニング法を学んだ。効果はすぐに表れた。審判員の体力テストに必要な40メートル走のタイムは、6秒0台から5秒56まで短縮。「自信がついて、余裕をもって走れるようになった」。ゆとりも生まれ、持ち味の的確な位置取りや瞬時の判断力にも磨きがかかった。

 

19年には、40メートル走6秒以内を連続6本といった男性同様の基準をクリアして1級審判員に合格。1試合の走行距離は10~13キロにも及ぶが、「疲れを感じたことはない」と涼しい表情。週6日をトレーニングに充て、アスリート顔負けの肉体を作り上げて試合に臨んでいる。

 

サッカーJ1でFC東京―京都の主審を担当し、イエローカードを出す山下良美審判員=9月18日、国立競技場(共同)

 

女性主審が男子サッカーを担当することに批判の声もある。ただ、男女の試合を比較しても、「基本的には一緒」と大差は感じないという。「サッカーで女性の活躍を引っ張っていきたい。(自分をきっかけに)審判や運営スタッフにも目を向けてくれる人が増えたらいい」。発展途上にある女子サッカーの可能性を広げるべく、重責も前向きに受け止める。

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主審は第4審判員を務める場合もある。今夏、ドーハなどで開かれるセミナーや合宿を経て担当試合や役割が決まる。「私ができることは、もう全力を尽くすことだけ。フィールドに立つことを目標に進んでいきたい」と山下主審。「『審判いなかったの?』と思えるくらい」に自然に観客を試合に没頭させるレフェリングを理想に掲げ、努力を積み重ねる。

筆者:川峯千尋(産経新聞)

 

やました・よしみ 1986年2月20日生まれ、東京都中野区出身。幼児期にサッカーを始め、東京学芸大時に審判資格を取得。12年に女子1級審判員、15年に国際審判員、19年に1級審判員に登録。16、18年U-17(17歳以下)女子W杯、19年女子W杯フランス大会、21年東京五輪など主要大会で主審を務めた。1日から来年1月31日まで、日本サッカー協会と女性初のプロ契約を結んだ。

 

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