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「懸け橋に」ミャンマー留学生無償受け入れ 新宿の調理師専門学校

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ミャンマーからの留学生らは飲食店経営などの夢を抱き、日本で料理の勉強に励んでいる=6月、東京都新宿区(大渡美咲撮影)

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ミャンマーで昨年、国軍がクーデターで全権を掌握してから情勢不安が続いている。新型コロナウイルス禍も拍車をかけ、増加していた同国の日本への留学生も減少した。そうした中、東京・新宿にある調理師専門学校が6人のミャンマー人留学生を無償で受け入れた。5月末から授業を受けており、学校側は「ミャンマーの若い人たちの希望になってほしい」と期待を込める。

 

「いただきます」

 

新宿調理師専門学校(新宿区)の職員室では、6人のミャンマー国籍の女性が、テーブルを囲んで昼食を食べていた。6人は5月末にミャンマーから来た留学生。全員が大学などで日本語を学んでいるが、日本のマナーやルールを学んでもらうため、教職員と昼食を食べている。

 

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「日本の料理は油も少なく、あっさりしていてとてもおいしい。家族にも作ってあげたい」とヌェ・ナンダ・アウーさん(26)は笑顔で話す。

 

クーデターに反対するミャンマーのデモ参加者

 

昨年2月、国軍によるクーデターが起きたミャンマーでは治安が悪化。航空券も値上がりし、日本への留学生は大幅に減少した。とくに、日本の調理師養成施設への留学生は毎年、1~9人ほどいたが、昨年はゼロだった。

 

「同じアジアの同胞として日本に学びに来たいというミャンマーの方をぜひ受け入れなければと思った」と上神田梅雄校長。授業料や生活費などをすべて負担し、1年間同校で学ぶ留学生を募集したところ100人以上から応募があったという。その中から面接などを経て、6人が選ばれた。

 

ミャンマーにある日本企業で通訳として働いていたカラヤー・テイン・テインさん(24)はクーデターとコロナで事業が停止し職を失った。「家で何もしていない時期が長く続いた。新しいことに挑戦したいと思い、自分にとってなじみがある料理を勉強したいと思った」と話す。

 

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日本への留学などを目指し、勉強や仕事に励んでいた生活は一変した。ケー・テゥイ・ソーさん(33)は「ネットの接続もできず、ガソリン代は4倍にもなり、買えなくなった」。エンドリー・ニャ・モウ・チョウさん(22)は「何か起きても警察にも言うことができない状況。毎日不安の中で暮らしていた」と明かす。

 

上神田校長は、1年間同校で学ぶだけで終わりではなく、資格を取得し、日本の飲食店で経験を積み、その後、母国で起業してほしいと考えている。「日本での限られた期間にさまざまな経験を積んで起業する側になり、ミャンマーの若者を導く立場になってほしい」と期待を込める。

 

全員、料理の経験はなく、店を開くまでの道のりは決して平坦ではない。だが、6人は未来に向けた一歩を歩み出している。ヌヌ・シュエ・バさん(23)は「元の安全な国になるには5年、10年はかかると思うが、日本で学んだことを生かしていつかミャンマーで自分の店を開きたい」と力を込めた。

 

筆者:大渡美咲(産経新聞)

 

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ミャンマーのクーデター
ミャンマー国軍が昨年2月1日、アウンサンスーチー氏ら民主派政権の幹部多数を拘束し、実権を奪取した政変。国民はデモや国軍への不服従運動で抵抗し、人権団体によると、武力弾圧の犠牲者は2千人を超えたという。7月末には最大都市ヤンゴンでデモの現場にいた日本人男性が拘束された。

 

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