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【主張】習体制が3期目に 独裁暴発の懸念が増した 台湾併吞の野心に備えを急げ

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中国共産党の第20期中央委員会第1回総会を終え、報道陣の前に登場した習近平総書記(手前左)ら新指導部のメンバー=10月23日、北京の人民大会堂(共同)

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中国共産党大会の閉幕を受けた最高指導部の人事で、習近平総書記(国家主席)=(69)=が3期目に入った。「68歳定年」の慣例を無視した続投である。

 

習氏側近らが多数引き上げられる一方、序列2位だった李克強首相(67)ら習氏と距離のある政治局常務委員を退任させる人事が断行された。これにより習氏の独裁体制が固まった。

 

3期目の任期が終わる2027年までに最も懸念されるのは、習氏が台湾併吞(へいどん)を狙って戦乱を引き起こすことである。

 

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台湾有事はいや応なく日本有事に直結する。日本には、戦後の平和が破られかねない危機の時代に入ったという自覚が必要だ。

 

 

自派偏重の強引さ示す

 

岸田文雄政権は米国などと連携し、習政権の暴発を抑え込む必要がある。外交や経済安全保障の努力に加え、抑止力としての防衛力の抜本的強化を急ぐべきだ。

 

象徴的な人事は、定年破りの習氏に対し、定年前の李氏が引退に追い込まれたことだ。代わりに李強・上海市党委員会書記(63)が、新型コロナウイルス対策で混乱を招いたにもかかわらず序列2位に抜擢(ばってき)された。李強氏は習氏が浙江省トップだった時期の側近として知られる。

 

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中国共産党の習近平総書記の写真を1面の真ん中に大きく掲載した10月24日付の「人民日報」(共同)

 

政治局常務委員7人のうち非習派は誰もいない強引さである。毛沢東への個人崇拝と権力集中が文化大革命の混乱につながったとの反省から党の集団指導体制が構築されて以降、最高指導部の政治局常務委員が一つの派閥で占められるのは初めてであり、集団指導体制は崩壊した。

 

中国中央テレビが8月4日に「微信」の公式アカウントに投稿したミサイル発射の映像(共同)

 

習体制が覇権追求を一段と加速させるのは間違いあるまい。党の憲法とされる党規約に「『台湾独立』に断固として反対し食い止める」と明記するとした決定には特段の警戒が必要である。

 

習氏は党大会初日の政治報告でも、台湾統一について「決して武力行使の放棄を約束しない」「必ず実現しなければならないし、実現できる」と威嚇した。

 

この報告に対し、ブリンケン米国務長官は「中国はずっと早い時期の統一を追求する決断」をしたとの懸念を表明した。米海軍制服組トップのマイケル・ギルデイ作戦部長(大将)も、中国の台湾侵攻が今年か来年にも起きる可能性を排除できないとみている。習氏の強硬姿勢で台湾有事の緊張感はさらに高まりかねない。

 

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政治報告では「中国式現代化」のスローガンも掲げた。日米欧とは異なる中国独自の発展の道を歩む方針を示したもので、これを海外に広める野望も隠さない。

 

注意すべきは、中国式発展モデルが中国共産党の指導を前提としている点だ。例えば政治報告で強調した「法治中国の建設推進」である。ここでいう法治は中国共産党が指導する法治であり、権力が法に拘束される民主主義国の「法の支配」とは概念が異なる。

 

香港返還25年の記念式典での演説の後、李家超新行政長官(左)と歩く習近平国家主席=7月1日、香港(AP)

 

批判封殺に未来はない

 

中国共産党にとっての法治はウイグル人やチベット人、香港市民らを支配するための手段となる。習政権が党内で進めてきた反腐敗闘争も、習氏の政敵らを失脚させるための手段としての側面があることを忘れてはならない。

 

経済もそうである。中国国家統計局は17日、7~9月期の国内総生産(GDP)の公表を延期すると突然発表した。年間目標「5・5%前後」の達成は困難とみられており、党大会中に不都合な数値の公表を避けた可能性がある。

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習氏への忖度(そんたく)で延期したのなら政治の思惑で経済が歪(ゆが)められる悪弊などなくなるはずもない。習体制の維持を優先し、経済を犠牲にしてきた「ゼロコロナ」政策はその典型例だろう。

 

中国によるウイグル人に対する人権侵害に反対するデモ

 

党大会の開幕直前、北京市内の高架橋に、「独裁の国賊、習近平を罷免せよ」などと書かれた横断幕が掲げられる異例の抗議活動が起きた。中国各地の公衆トイレなどで習氏批判の落書きが相次いで見つかったとの報道もある。

 

成長鈍化が確実視される中、習氏独裁やゼロコロナ政策への不満はますます広がりかねない。国民の批判を逸(そ)らすため、習政権が国内における弾圧や対外的な強硬姿勢を際立たせることも想定しておくべきだ。

 

周りにイエスマンしかいない独裁者が合理的判断を下せず、暴発する例は多い。批判の封殺に未来はない。国際社会は習氏の中国支配から目を離してはならない。

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2022年10月24日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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