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100年分の宝物ぎっしり 国内初の本格DB「アニメ大全」誕生

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anime taizen
歴代日本アニメの情報を網羅した「アニメ大全」の画面。タイトルや監督、年代など、幅広い方法で作品の情報を検索できる

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過去に国内で制作・放映されたアニメーション作品の基本情報を網羅したウェブサイト「アニメ大全」が登場し、多くの訪問者を集めている。日本のアニメは100年以上の歴史を持つが、このような本格的なデータベースは初めて。運営担当者に共通するのは、「過去の作品が忘れられてしまうのを避けたい」という思いだ。

 

 

貴重なデータ

 

アニメ大全は8月25日に公開。日本最古のアニメ作品の一つとされる「なまくら刀」(大正6年)をはじめ、1910年代から現在までのアニメ約1万5千作品の公開年や制作者、ストーリー、声優、スタッフなどの情報を集約し、日々更新している。利用は無料で、研究者やビジネス関係者、アニメファンなど幅広い層にとって貴重な資料となる。

 

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サイトが作られた目的は、日本のアニメ史を系統立てて整理することだ。これらの取り組みは時間も費用もかかるため、個別の業界関係者では対応できず、過去には古い作品の存在が確認できなくなったり、忘れられたりした事例もあった。

 

<まとまりのむずかしい我国のアニメ界ではあるけれども、(中略)各国の記事などにとりあげられたり、問い合わせを受けたりするような趨勢(すうせい)になったとあっては、なにか、現状を分析し、要約した記載がほしく、紹介できる資料があれば幸いなのだが>

 

手塚治虫は昭和52年刊行の「日本アニメーション映画史」(有文社)の序文でこのように指摘。半世紀近く前からの課題は、解決されないままだった。

 

今なら間に合う

 

転機は、平成29年に日本のアニメが100周年の節目を迎えたことだった。アニメ制作会社などで構成される日本動画協会が手掛ける記念事業「アニメNEXT_100」プロジェクトの一環として、アニメ大全は本格化した。

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「アニメが次の100年も成長するためには、過去の歴史を現在、未来へとつなげる必要がある。データベースがあれば、作品が忘れ去られることを防げるし、より全体的にアニメを把握できる」

 

アニメ大全の担当者、植野淳子さんは狙いをこう語る。

 

背景には、戦災などによって過去の資料が失われ、作品自体の存在が忘れられた経緯がある。戦後になっても、関係会社の統廃合などにより資料が散逸したり、劣化したりするケースが多くあった。

 

さらに、戦後のアニメ業界を支えてきた功労者も高齢化が進んでいる。植野さんは「『自分たちが生きているうちに実現してほしい』という声もいただいた」と明かす。

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こうした経緯を踏まえ、アニメ大全の担当者は、業界関係者への聞きとり調査や残された紙の資料の収集などを実施。歴史の継承に努めている。

 

アニメの人気上昇に伴い、年代を追うごとに制作タイトル数は増加しており、アニメ大全に登録される作品タイトル数も右肩上がりだ。情報は制作会社や研究者などと協力し、随時更新する。

 

「大切なのは『網羅性』。埋蔵文化財を探すような大変さがあるが、丁寧に事実を積み上げていきたい」(植野さん)

 

「アニメ大全」の検索画面

 

高い注目度

 

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インターネットの発達により、アニメの情報は以前と比べて飛躍的に入手しやすくなった。ただし、その質は玉石混交。アニメ大全が今年8月に公開されるとすぐに大きな話題となり、ファンらが多数訪問した。海外からのアクセスも多く、植野さんも「注目度の高さに驚いた」と振り返る。

 

今後の目標は、長期的にデータベースを持続できる仕組みを構築すること。植野さんは「近年は動画配信の普及もあり、過去作品の注目度も上がっている。子供たちや世界の人たちが、新たに作品に出合うきっかけを増やせたら」と語った。

 

筆者:本間英士(産経新聞)

 

 

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