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【主張】ロシアの侵略1年 ウクライナと連帯強めよ 岸田首相はキーウ訪問果たせ

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Ukraine
ロシアの侵攻開始から1年の節目に、首都キーウで記者会見するウクライナのゼレンスキー大統領=2月24日(共同)

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ロシアのプーチン大統領が帝国主義的妄執に憑かれて始めたウクライナ侵略から1年が経った。

 

無辜(むこ)のウクライナ国民数万人を殺傷し、なお非道の侵略を止めない。冷戦終結後の世界の秩序を破壊し、国際法を踏みにじって恥じない。最大限の非難に値する。

 

800万人超の同国民が国外への避難を余儀なくされ、日本にも2千人余が滞在している。

 

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プーチン氏は年次教書演説で、一方的に併合したウクライナ東南部4州とクリミア半島の支配を続けると言明した。これも明白な国際法違反で、独立主権国家からなる世界への挑戦だ。

 

ロシア軍は全占領地から即時無条件で撤退すべきである。

 

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聖ミハイル黄金ドーム修道院前の広場には、侵攻に用いられ破壊されたロシア軍戦車や戦闘車両などが並ぶ=2月24日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)

 

占領地から即時撤退を

 

首都キーウを電撃訪問したバイデン米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領に「独立と主権、領土の一体性への揺るぎない支持を示すために来た」と述べた。防空警報が鳴り響く中、両大統領は抱擁し、並んで歩いた。自由・民主主義陣営の結束を示す象徴的光景だった。

 

バイデン氏は5億ドル(約670億円)の追加軍事支援と新たな経済制裁を表明した。ミュンヘン安全保障会議ではスナク英首相が「今後3カ月で昨年1年間以上の兵器を供与する」と約束、北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン前事務総長は本紙との会見で「ウクライナが求める武器を全て与えることが最善」と語った。

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プーチン氏のロシアは、停戦さえ再侵攻への準備に利用しかねない危険な専制国家だ。ウクライナはそれを分かっており、独立を追求し、国土から侵略者を追い出そうと懸命に抗戦している。

 

Ukraine

 G7首脳テレビ会議に出席した岸田首相。画面はウクライナのゼレンスキー大統領=2月24日夜、首相公邸(内閣広報室提供)

 

首脳が戦時下のウクライナ入りを果たしていない先進7カ国(G7)は日本だけとなった。しかも日本はG7議長国である。岸田文雄首相は連帯と結束を主導しなければならない立場だ。

 

岸田首相は「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と危機感を表明してきた。侵略者ロシアが万が一勝利すれば、中国による台湾侵攻を誘発しかねない。

 

ウクライナを支えることは自由と民主主義、日本を含む世界の平和を守ることに直結する。岸田首相がキーウの地に立つことこそ、ウクライナを勇気づけ、日本の国際的信頼と存在感を高める。訪問を必ず実現してもらいたい。

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プーチン氏は年次教書演説で「戦場でロシアを負かすことは不可能だ」と嘯(うそぶ)いたが、戦況にも戦果にも触れずじまいだった。英国防省は1年間のロシア軍の死傷者を最大20万人と分析する。徴兵を嫌って国の将来を担うエリート層数十万人を含む数百万のロシア人が国外へ脱出した。ロシアの最近の世論調査では「和平交渉再開」への賛意が過半数となった。

 

Ukraine

聖ミハイル黄金ドーム修道院に訪れ祈りを捧げたキーウ在住の住民=2月24日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)

 

プーチン氏に勝利ない

 

厭戦(えんせん)機運が兆す中でプーチン氏は、独裁者スターリンがヒトラーに勝利した第二次大戦の独ソ戦を引き合いに、自身の侵略戦争を「祖国防衛戦争」とすり替えている。独ソ戦の天王山となったスターリングラード攻防戦80年の行事では「ナチスの思想が現代的な姿をして再びわが国の安全保障に脅威を与えている」と演説した。

 

だが、外交専門家の米ニューヨーク市立大のウィース教授は「ロシアこそウクライナの人々と歴史を抹殺しようとしてナチス以来の大規模な戦争犯罪を行っている」と指摘した。その通りである。

 

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侵略者はロシアである。事実を転倒させたプーチン氏の捏造(ねつぞう)には何の説得力もない。

 

Ukraine China's aid

2月18日、ドイツで開催中のミュンヘン安全保障会議で、演説する中国の王毅共産党政治局員(AP)

 

ブリンケン米国務長官は中国外交トップ、王毅共産党政治局員との会談で「中国がロシアに殺傷兵器を供与するとの情報がある」として、決して供与しないようくぎを刺した。王氏はモスクワに飛び、プーチン氏との会談で「(中露関係は)第三国による脅迫や圧力に打ち負かされることはない」と語った。

 

力による現状変更を狙う中露両国の接近、とりわけ中国による対露武器供与を西側は防がなければならない。

 

バイデン氏はキーウ訪問後、ポーランドで演説し、「決してロシアの勝利はない。プーチン氏の領土と権力への欲望は失敗し、ウクライナ国民の自国への愛が勝利する」と語った。プーチン氏に勝利を与えてはいけない。日本を含む世界がウクライナとの連帯を改めて強めるべき時である。

 

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2023年2月24日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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