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【主張】米債務上限問題 責任自覚し危機回避せよ

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債務上限引き上げを巡り、直接会談したバイデン米大統領(右)と野党共和党のマッカーシー下院議長=5月22日(ロイター)

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米連邦政府の債務上限引き上げを巡り、民主党のバイデン政権と野党・共和党との協議が難航している。引き上げが実現しなければ、米国は現地時間の6月1日にも資金繰りが行き詰まり、債務不履行(デフォルト)に陥る懸念がある。

 

そうなれば、米国だけでなく世界経済に深刻な悪影響を及ぼしかねない。双方はその責任の重さを自覚し、デフォルト回避に向けた合意形成を確実に果たさなくてはならない。

 

さもなくば、米国政治に対する国際社会の信用が一気に失墜すると認識すべきである。

 

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イエレン米財務長官=4月11日(ロイター)

 

債務上限は、法律で定められた連邦政府の借入限度額だ。既に1月に上限に達しており、このままでは国債の利払いや償還ができなくなる。安全資産の代表格として世界中で保有されている米国債がデフォルトに陥れば、金融市場が大混乱を来す恐れがある。

 

ただでさえ、世界的なインフレや、それを抑える各国の利上げで世界経済が揺らいでいる。米国で相次いだ銀行破綻で金融不安もくすぶっている。米国のデフォルトがこれらに拍車をかければ、日本経済も甚大な打撃を受けよう。

 

米連邦議会議事堂で記者団に応じるマッカーシー米下院議長=5月24日(ロイター)

 

一連の対立は上限引き上げ条件を巡るものだ。共和党は社会保障などの分野で今後10年間で4兆5千億ドル規模の歳出削減を要求している。バイデン政権は一定の歳出削減に応じるとしつつも共和党の理解を得るには至っていない。

 

問題は、来年秋の大統領選を見据えた民主、共和両党の政治的な思惑である。昨年の中間選挙で共和党が下院の多数を奪還し、上院で多数を維持する民主党と「ねじれ」状態にあることが両者の歩みよりを遠のかせている。

 

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だが、党派性に執着して目先の政治的得点を追い求める争いに明け暮れるようでは、経済のみならず外交や安全保障を巡る同盟・友邦諸国の失望を招きかねない。

 

G7広島サミット終了後に記者会見するバイデン米大統領。パプアニューギニアへの訪問を取りやめ帰国した=5月21日(ロイター)

 

バイデン大統領は先に、現職大統領として初めてとなるパプアニューギニア訪問を取りやめて債務上限問題に対応せざるを得なくなった。米国発の危機が世界に広がれば、米国が日欧とともに協調関係を築こうとしている新興・途上国の反発も強まるだろう。

 

米国の民主政治の混乱をみて喜ぶのはどこか。中国やロシアのような専制主義国家が自らの統治体制の優越性を喧伝(けんでん)しかねないことを銘記しておくべきである。

 

 

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2023年5月26日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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