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戦闘機エンジン200基が宙に 輸出阻む「三原則」

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洗浄される航空自衛隊のF15J戦闘機。2021年から民間企業が請け負っている=2021年12月1日、沖縄県那覇市の航空自衛隊那覇基地(彦野公太朗撮影)

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航空自衛隊のF15戦闘機99機が今後10年程度で用途廃止(退役)されることに伴い、使用可能な中古エンジン約200基の行方に政府が苦悩している。世界16カ国・地域で需要があるが、防衛装備の輸出ルールを定めた「装備移転三原則」により、殺傷力のある兵器に当たる戦闘機のエンジンは原則輸出できないからだ。自民、公明の与党は制度見直しを進めるが、大量の中古エンジンが倉庫に眠ったままになりかねない。

 

 

「日本の安全保障に資する移転は規制を緩める必要がある」

 

防衛装備品の海外輸出を促進する議員連盟(会長・小野寺五典元防衛相)が4月13日に開いた勉強会でF15エンジンの問題が取り上げられると、出席議員からこうした声が相次いだ。

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North Korean missile

自民党の北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部、国防部会、安保調査会の合同会議であいさつする小野寺五典安保調査会長=4月13日午後、東京・永田町の党本部(矢島康弘撮影)

 

政府は昨年末に策定した「防衛力整備計画」に、部品を最新版に更新する改修に適さない古い戦闘機について「代替ペースを加速させる」と明記。保有するF15約200機のうち約半数を今後10年程度でF35に置き換えていく計画だ。F15は年約10機のペースで廃止され、1機当たり2基ずつの中古エンジンが毎年生じる。

 

戦闘機のエンジンは高度な技術を要するため機体とは別に製造され、新品は1基約10億円。中古品の価格は未知数だが、移転のメリットは売却益ではない。

 

中古エンジンはF15やF16戦闘機を保有する他国の空軍で再利用でき、台湾や韓国、インドネシア、サウジアラビアのほか、欧州などで需要が見込まれる。安全保障上、重視する同志国へ移転すれば協力関係の深化につながる。

 

F15エンジンは米国企業からライセンス生産を請け負う日本企業が製造しており、移転した場合はその後の維持整備も日本が担うため国内企業の利益になる。

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離陸後、小松基地に向かう前に入間基地上空を通過する航空自衛隊のF15J戦闘機=2018年11月3日午後、埼玉県狭山市の航空自衛隊入間基地(酒巻俊介撮影)

 

しかし、装備移転三原則では戦闘機など殺傷兵器の輸出は部品も含め、共同開発国やライセンスを持つ企業の国へ売却する場合に限られる。自衛隊の装備品であれば自衛隊法で不要品を譲渡できるが、「武器は除く」とされている。

 

装備移転について与党は制度見直しに向けた協議を開始したが、公明は殺傷兵器の輸出解禁に消極的だ。F15エンジンの行方について、政府関係者は「与党協議次第だ」と語る。

 

「自衛隊航空機史上で最大規模」(防衛産業関係者)となるF15の用途廃止を、一石二鳥、三鳥の好機に転じることはできるだろうか。

 

筆者:市岡豊大(産経新聞)

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【防衛装備移転三原則】 平成26年4月に当時の安倍晋三内閣が決定した防衛装備品の輸出ルール。国際共同開発や輸出拡大に向け、従来の禁輸政策を撤廃した。輸出や供与の条件を国際協力や日本の安全保障に資することとし、国連安全保障理事会決議に違反する場合や安保理が措置を取っている紛争当事国には禁じた。運用指針では、殺傷能力を持つ武器の輸出を共同開発・生産をする相手国に限定。殺傷能力がない装備は、救難、輸送、警戒、監視、掃海の計5分野について認めている。

 

この記事の英文記事を読む

 

 

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