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柔道・井上康生氏「夏の柔道月間を振り返って」

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今年のインターハイの会場となった北海道立総合体育センター。多くの観客が訪れ、熱戦が繰り広げられました(写真/INOUE Kosei)

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ジャパンフォワード読者の皆さん、こんにちは。

 

まず最初に先日発生したハワイ州マウイ島の火災により、犠牲になられた方に哀悼の意を表します。あわせて被害に遭われた方に心からのお見舞いを申しあげます。

 

ハワイは日系人が多く住み、日本と関わりの深い土地です。柔道もとても盛んで、多くの柔道家の知人、友人が住んでいます。また、私が全日本柔道チームの男子監督をしていた2020年には全日本合宿でオアフ島を訪れました。現地の皆さんと交流し、柔道がハワイに根づいていることを実感しました。今回の火災については日本でも連日大きく報道されており、被害の大きさに心を痛めています。どうか皆さんの日常が少しでも早く取り戻されることを祈っています。

 

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柔道男子代表の強化合宿で、技を研究する老野祐平(左)。右奥は鈴木桂治監督=7月20、味の素ナショナルトレーニングセンター(共同)

 

さて日本では、今年は久しぶりに新型コロナウイルスによる行動制限のない夏となりました。日本の多くの学校は7月末から8月は夏休みになりますが、この期間はいわば「夏の柔道月間」です。7月末の金鷲旗高校柔道大会に始まり、8月に入ると上旬にはインターハイ、中旬には全国中学校大会、そして下旬には全日本実業団体選手権と各カテゴリーの全国大会が続くのです。

 

インターハイ柔道・女子52キロ級を制し、笑顔で写真に納まる北海・横地萌恵=北海きたえーる(共同)

 

とりわけ、中学生、高校生にとっては夏の全国大会はとても重要です。夏の大会出場は子どもたちにとっての最大の目標になっているからです。もちろん、私もそうでした。とにかく夏に結果を出す。そのことだけを考えて日々の稽古に励んでいました。こうした夏の大会をピークに考えるのは、柔道だけでなく、他の競技でも言えることです。例えば甲子園でおなじみの高校野球はその代表例でしょう。“夏の甲子園”は、日本の夏の風物詩と言える存在とも言えます。これは学校の部活動を中心に発展してきた日本独特のスポーツ文化と言えるかもしれません。子どもたちは夏へ向けて努力を重ね、さまざまな経験をすることで選手としてだけでなく人間的成長を遂げます。その姿は人々の心を大きく動かします。

 

インターハイ柔道・男子60キロ級で2連覇を果たした比叡山・福田大和=北海きたえーる(共同)

 

私も毎年、インターハイと全国中学校大会を会場で観戦していますが、各地の予選を勝ち抜き、見事、全国大会に出場を果たした子どもたちの試合にはいつも心が大きく揺さぶられますし、精一杯力を発揮しようとする姿は、何よりも尊いものだと感じます。こうした幸せな文化がこれからもずっと続いてほしいと願わずにいられません。そのために、我々大人は子どもたちの練習や試合環境を絶えず点検し、必要であれば新たな方法を採用する必要があると思います。

 

インターハイ柔道・男子73キロ級準決勝で修徳・横尾優空に倒される小杉・古沢翔太(右)=北海きたえーる(共同)

 

例えばインターハイは、現在は男女ともに団体戦を行ったあとで個人戦を行っていますが、この順番を逆にして、個人戦→団体戦の順で行うことも検討してよい時期なのではないかと考えています。団体戦は体重無差別で行われるため、団体戦後に個人戦にも出場する選手の中には減量を行う場合もあり、身体への負担が心配されるからです。

 

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世界に目を向ければ、世界選手権もオリンピックでも団体戦は個人戦のあとに行われています。日本では少子化が進んでいますから、柔道をする子どもたちの数がこれから大きく増えることはそうそう見込めません。柔道を選んだ子どもたちの健康面と安全面を第一に考え、さらには世界基準で思いきり試合ができるような環境を整えていかなければならないと思っています。

 

judo Kosei Inoue

井上康生 理事長, 認定NPO法人 JUDOs

 

judo Kosei Inoue

Kosei Inoue, President, Certified NPO JUDOs

 

 

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