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アップルCEOも注目する「世界最高齢アプリ開発者」の生き方 若宮正子さん

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「まずは何でもやってみる」と話す若宮正子さん。着ているブラウスはエクセルで作った図案を布にプリントして仕立てた=東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)

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58歳でパソコンを買い、エクセルを使ったアートを発表、81歳でゲームアプリを開発した。若宮正子さん(88)はICTエバンジェリスト(伝道師)として、きょうも講演や会議で全国を駆け回る。米アップルCEOのティム・クック氏には「世界最高齢のアプリ開発者」と称された。自称「物好きのおっちょこちょい」は悩める中高年に「今までの延長ではない生き方を」と説く。

 

デザインしたエクセルアートは多種多彩。やりたいことのためにIT機器を駆使する

 

昨日、北海道・苫小牧から神奈川県の自宅に帰ってきました。その前は佐賀で講演です。ほぼ毎日飛行機に乗っていますね。オンラインを含め年間110回くらい講演しています。スケジュール管理はパソコンやスマホを使ってワンオペでやっています。岸田文雄首相が議長のデジタル田園都市国家構想実現会議やデジタル庁、総務省の会議のメンバーも務めています。

 

《高校卒業後、大手都市銀行に入行。積極的に提案書を出し、業務企画部に抜擢(ばってき)、管理職にもなった》

 

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当時は定年まで勤める女性は少なかった。私は仕事にやりがいを感じていたし、辞めませんでした。結婚はせず、定年になったら、やりたいことをやろう、と思っていました。

 

《58歳でパソコンを購入、独学で学び始める》

 

ウィンドウズ95が出る前で、個人でパソコンを買う人は相当のマニアでした。私は新しいものが好きで、つい買ってしまいました。夢中になったのはパソコン通信です。当時はインターネットではなく電話回線で、私はニフティサーブで通信していました。パソコン通信だと会ったことのない人と友人になれる。母の介護をしましたが、その間も外の世界とつながれることを知りました。

 

《表計算ソフト「エクセル」を使って図案を描くエクセルアートを開発した》

 

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パソコンを楽しみながら理解できるように、とエクセルで描くことを思いつきました。罫線(けいせん)と塗りつぶし機能を使います。エクセルは計算だけじゃないんですよ。図案を印刷してブラウスやバッグも作りました。エクセルをこんなふうに使うなんて、普通は考えつかないでしょうね。

 

デジタルクリエーターの若宮正子さんが制作したエクセルアートのカバン(鴨志田拓海撮影)

 

《独学でゲームアプリ「hinadan」も作り上げた》

 

私はアプリを作ったのでプログラマーと呼ばれます。だけど、プログラミングが好きなわけではありません。高齢者が楽しめるゲームアプリがないので、自分で作っただけです。プログラミングは独学で、要所要所は仲間が教えてくれました。

 

よく「日本は技術がないから何かを作り出せない」と言いますが、技術がないのではない、作りたいもの=ビジョンがないのです。「何がしたいのか」というビジョンを持つことが一番大切です。

 

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《人と話すのが大好きで、常に新しい情報を仕入れている。そんな若宮さんは現代を「歴史的な転換点だ」とみている》

 

産業革命をもたらした18世紀の蒸気機関、電気、そしてインターネットが歴史的な転換点でした。今のAI(人工知能)は、続いての転換点です。私たちのすぐそばにAIは迫っています。仕事にも暮らしにも入り込んでくる。40代、50代の人も今までの常識は捨てて、頭の切り替えをしなくてはいけません。私はとっくにチャットGPTを使っています。便利ですね。

 

自分の半生をつづった近著『昨日までと違う自分になる』(KADOKAWA)にも書きましたが、私たちは戦争で、昨日までの常識が一晩で変わってしまう経験をしました。いくらお金を持っていても、そのお札が使えなくなってしまうかもしれません。それより、何があっても生き残るという気概が必要です。

 

そのためにも、自分中心で周囲が回っている「天動説」で生きること。あちらこちらに気を使わない。自分の人生、自由に生きましょう。

 

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聞き手:小川記代子(産経新聞)

 

■若宮 正子(わかみや・まさこ) 昭和10年、東京生まれ。東京教育大附属高校(現筑波大附属高校)卒業後、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。インターネットを通じて交流する「メロウ倶楽部」の立ち上げに参画。令和3年には台湾のデジタル政策を率いるオードリー・タン氏とトークショーを行った。

 

 

2023年8月27日産経ニュース【私の後半戦】を転載しています

 

この記事の英文記事を読む

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