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韓国の課題:慰安婦問題の真実と虚構の区別を

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旧日本大使館前に設置された慰安婦像(©金柄憲)

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1991年8月14日、いわゆる元「日本軍慰安婦」である金学順(キム・ハクスン)がマスコミに出て「慰安婦被害者」であることを訴え、挺身隊問題に火をつけて以来、この日韓の外交問題はいまなお解決されていない。

 

30年以上もこの問題が解決されずにいるのには、最初に火をつけた「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」の後身である「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(略称「正義連」)の絶え間ない偽りと扇動が最大の原因として影響しているが、これに劣らず真実に目をつぶって、正義記憶連帯の偽りをそのまま伝え、反対主張を徹底的に黙殺してきたマスコミの責任も決して少なくない。 11月7日付の朝鮮日報に掲載された金潤徳(キム·ユンドク)先任記者のコラムもその一つだ。

 

Ghosts in the Neighborhood

韓国政府主催の慰安婦記念日の式典に出席し、元慰安婦の李容洙と手をつなぐ文在寅大統領(当時)=2018年8月14日、韓国・天安(聯合=共同)

 

金潤徳は「正義連も朴裕河(パク・ユハ)も彼らの涙を拭かなかった」という題名のコラムで「『帝国の慰安婦』は無罪だったが、朴裕河の主張が正しいというわけではない」と指摘をした。そして唯一の解決策は大統領と政府の外交的解決だと主張した。しかし、その指摘も間違っており、解決策も間違っている。その理由は慰安婦問題に対する無知にある。

 

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金潤徳は日本のジャーナリスト土井敏邦が書いた『“記憶”と生きる』に掲載された姜徳景(カン・ドクギョン)の証言「富山の軍需工場を脱出した自分を捕まえて強姦した後、軍慰安所に連れて行ったコバヤシ憲兵」を論争的な内容とした。金潤徳がこの証言を額面どおり信じていることは明らかだ。しかし、この証言どおりなら、日本軍が民間女性の姜徳景を拉致して強姦した後、慰安所に連れて行って売春行為を強要したということになる。それは決してありえないことだ。

 

挺対協発行の慰安婦証言集第3巻の表紙画像。単行本は全6巻が刊行された。多くの証言に矛盾がみられる(©YES24)

 

1993年に挺対協が発刊した『強制的に連行された朝鮮人軍慰安婦たち』の第1巻にも姜徳景の証言が載っている。 この証言集で姜徳景は、上等兵のコバヤシ憲兵と運転兵に拉致され、トラックに運ばれていたところ、野山に連行され強姦された。そして再び車に乗せられ、2人の歩哨が立っている部隊の慰安所に到着した。コバヤシは姜徳景に「当分ここにいろ」と言ったが、そこにはすでに5人の女性がいた。 以後、コバヤシは随時来て寝て行き、姜徳景に「ハルエ」という芸名もつけ、服とおにぎり、乾パンを持ってきてくれたりもした。また、軍人たちが呼ぶと女性たちは毛布を持って軍人について行かなければならず、そこで診察などは受けなかったと姜徳景は話した。

 

この証言が事実なら、コバヤシは日本軍憲兵ではなく、抱え主であり拉致・強姦・売春強要などの犯罪を犯した重大犯罪者だ。もし軍人がこのような犯罪を犯したなら、戦後米軍が主導する戦犯裁判で必ず最高刑に至る処罰を受けたはずであり、そのような記録も残っていなければならない。 しかし、そうだという記録はない。 何よりも姜徳景の証言では、彼女自身が「慰安婦」であることはあっても「日本軍慰安婦」であるとは言えない。

 

ソウル中心部の南山に設置された慰安婦問題を象徴する少女像を抱く元慰安婦の李容洙=2019年8月(共同)

 

1966年、最高裁判所は「慰安婦」という単語の語義と関連して「日常用語において慰安婦とは売春行為をする女性を指すもの」と規定している(66ダ1635)。性的サービスを提供してお金を稼ぐ職業人、すなわち売春婦をいう。そして、「日本軍慰安婦」は「慰安婦」の中でも日中戦争と太平洋戦争地域に設置され、日本軍の管理·監督を受けた日本軍慰安所で働いた女性を指す。当然、戦争地域ではない日本・朝鮮・台湾には日本軍慰安所が設置されておらず、この地域で働いたという慰安婦は日本軍慰安婦ではない。

 

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こうした理由でなくても「昼に来る軍人はいなかった」とか「コバヤシ以外に寝て行く人はいなかった」、「軍人が呼ぶと女性は毛布を持って軍人についていかなければならなかった」、「診察などは受けなかった」などの証言はいずれも日本軍慰安所で起こりえないことだ。軍慰安所では軍人は昼間も来ており、宿泊は将校だけが可能で、出張売春は不可能であり、性病予防のため軍医が定期的に診察を行っていた。このような証言は、姜徳景が自ら日本軍慰安婦ではなかったという事実を自白したも同然だ。

 

History Distortion

ソウルの旧日本大使館前で慰安婦像の設置に抗議する金柄憲(©金柄憲)

 

金潤徳はまた、土井敏邦の「物理的・心理的監禁状態にあった慰安婦たちは生殺与奪権を握った日本軍が些細な慈悲を施す時、過度な愛着と感謝の気持ちを持つということ」を提示し朴裕河を批判した。 おそらく土井の主張に同意するという意味だろう。 しかし、この部分でも金潤徳は慰安婦の実情に対する無知を露わにしたのだ。

 

慰安婦とは、抱え主と前借金を前提に契約を結び、契約書に明示された場所で契約書に明示された仕事をして稼いだお金を、抱え主と一定比率で分ける職業人だ。すなわち、抱え主と契約締結時に「あらかじめ借りて使うお金」という意味で前借金という名目の1年ないし2年間の賃金を本人または両親が一括払いで受け取り、性売買でお金を稼いで返済していく構造だ。抱え主にとって前借金は投資だが、慰安婦には必ず返さなければならない借金だった。日本軍は慰安所に支払った料金分だけ権利を行使できるだけで、慰安婦を強制することはできない。あえて「生殺与奪の権」と言えば、それを握っている張本人は日本軍ではなく、前借金を支払った抱え主だろう。

 

2019年、慰安婦問題に関する国際シンポジウムに出席した尹美香(ユン・ミヒャン)元挺対協代表(右)と元慰安婦の李容洙(中央)(「Justice for Comfort Women」フェイスブックから)

 

また、金潤徳は慰安婦を「一日数十人の軍人を相手にしてこそ生き残ることができた女性たち」と言ったが、これも実情を知らずに言った言葉である。慰安婦たちが抱え主の手から抜け出し自由を享受できる唯一の方法は、前借金を完全に返済することだ。 顧客である日本軍が多ければ多いほど借金返済期間は短くなり、その数が少なければ少ないほどその期間が長くなる。ところが金潤徳は所定の費用を支払って性的欲求を解消する顧客の行為に対して「女性暴力」と断定した。「無知」もこんな「無知」はない。

 

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そのうえ、金潤徳は「軍慰安婦制度は、それが強制連行であれ詐欺であれ、性暴力であれ性売買であれ、日本軍人との恋愛であれ、国家組織である軍隊が女性に加えた明白な暴力だ。軍当局と行政機関の庇護と黙認なしには慰安婦動員が不可能だったということは、日本の学者たちも同意している」と主張した。正義連の主張をそのまま踏襲しているが、それは一言で言うと話にもならないのだ。

 

History distortion

金柄憲著『赤い水曜日 慰安婦運動30年の嘘』。文藝春秋から日本語訳も出版された(©金柄憲)

 

〈日帝下の日本軍慰安婦被害者に対する保護・支援及び記念事業等に関する法律〉第2条1号では、「日本軍慰安婦被害者」を「日帝により強制的に動員され性的虐待を受け、慰安婦としての生活を強要された被害者をいう」と定義した。ここで「日帝」について正義連と女性家族部は「日本軍」と明示した。 強制動員、性的虐待、慰安婦生活強要の主体が日本軍という意味だ。金潤徳も「国家組織である軍隊」と言ったので同じ立場をとっている。

 

だが、金潤徳が言及した金学順は実の母親によって抱え主である養父に40ウォンで売られ、黄色いセーターを買ってきた母親の見送りを受けながら中国鉄壁津に行き「アイコ」という芸名で慰安婦生活をした。李容洙(イ・ヨンス)の場合、赤いワンピースと革靴に惹かれて思わず慰安所の主人について台湾まで行き「トシコ」という芸名で慰安婦生活をしたという。この2人だけでなく、女性家族部に登録された240人のいわゆる日本軍慰安婦被害者のうち、日本軍に連行された人は一人もいない。

 

8月15日の光復節記念式典で演説を行う尹錫悦大統領 (©大韓民国大統領室)

 

金潤徳は最後にこの問題の解決策は「外交」であり「日本首相が頭を下げておばあさんたちの手を握ることがその第一歩」とした。問題の本質に対する理解がないため、解決策も無駄足を指摘したことになる。

 

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慰安婦問題の本質は「貧困」だ。 国が貧しく、親が貧しくて家族を生かすため、または本人が生きるためにその苦労の道に入ったのだ。=敬称略

 

筆者:金柄憲(市民団体慰安婦法廃止国民行動代表・国史教科書研究所所長)

 

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