【主張】天皇誕生日 令和の「行幸」国民の力に
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2月23日、天皇陛下は61歳の誕生日を迎えられた。令和の時代を国民とともに歩まれる陛下に心よりお祝いを申し上げたい。
新型コロナウイルス感染防止のため、誕生日の一般参賀は2年連続で中止となったが、陛下は先立つ記者会見で、広く国民に寄り添う思いを語られた。
コロナ禍に関し、命を落とした人々を悼み、医療関係者や困難な状況にある人々を支援する関係者の尽力に感謝の気持ちを話された。そして「忍耐強く乗り越える先に、明るい将来が開けることを心待ちにしております」と述べられた。国民も心を一つに取り組みを新たにしたい。
陛下は、まもなく発生10年を迎える東日本大震災の被災地にも思いを寄せられた。そうしたお言葉、お気持ちに力づけられる人々は少なくないだろう。
コロナ禍で皇室の活動が制限される中、皇室活動の基本に言及され、「国民の幸せを常に願って、国民と苦楽を共にすることだと思います」と述べられた。
それを実践される姿は、昭和天皇から上皇陛下へと引き継がれ、今上陛下が間近で学ばれてきた皇室の伝統である。
陛下は、そうした歴史、伝統を踏まえ、時代や社会の変化に応じた行動の大切さも話された。
コロナ禍にあって天皇陛下がお出かけになる行幸(ぎょうこう)の機会など、国民と触れ合う場はたしかに限られている。会見でも、触れ合うことが難しい状況を残念に思うお気持ちを率直に語られた。
そうした中で、天皇、皇后両陛下が、コロナ対応にあたる病院とお住まいをオンラインで結び、医療関係者をねぎらうなど、交流・活動を工夫されている。
元日には、ビデオメッセージを発表し、国民を案じる気持ちを込められた。
延期された新年の歌会始の儀を例にしても国民が楽しみにしている伝統の行事は多い。宮内庁は皇室と国民の交流を深めるため、さらに知恵を絞ってほしい。
天皇陛下が数多くの宮中祭祀(さいし)を通し、日本と国民の安寧や豊穣(ほうじょう)を祈られていることにも、一層の理解を深めたい。
天皇が国民のために祈り、国民は天皇に限りない敬意と感謝の念を抱いてきた。それが日本の国柄であり、皇位が安定して続いていくことは国民の願いである。
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2021年2月23日付産経新聞【主張】を転載しています
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