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【主張】英TPP交渉入り 日本の主導で加盟実現を

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環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加する11カ国が、2月に新規加盟を申請した英国との交渉を開始することで合意し、交渉のための作業部会を設置した。

 

数カ月以内に協議を始め、来年以降に加盟の可否を判断する見通しである。認められれば、発足メンバー以外で初めての加盟だ。欧州勢の合流は、アジア太平洋地域にとどまらないTPP経済圏の拡大機運を高めよう。

 

新規加盟時の先例となる交渉である。承認には全会一致の賛成が必要だ。閣僚級会合で今年の議長国を務める日本は、高水準の関税撤廃や共通ルールを英国が受け入れることを前提に交渉を円滑に進め、早期加盟を実現するよう指導力を発揮してほしい。

 

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欧州連合(EU)離脱後の英国にとっても、経済的に存在感が高まるアジア太平洋地域との関係強化は重要な成果となる。加えて自由や民主主義などの価値を共有する欧州先進国の合流には、自由貿易の推進に限らぬ意義がある。

 

TPPには元来、経済と軍事一体で覇権を追求する中国とは一線を画し、自由で公正な市場経済を拡大する狙いがある。

 

英政府は外交・安全保障上、中国を「英国の経済安保の最大の国家的脅威」と警戒している。TPP加盟に動いた背景にも、これと軌を一にする判断があろう。中国の脅威に直面する日本が英国の合流を後押しすべきは当然だ。

 

英国は1月、日本と2国間の経済連携協定(EPA)を発効させており、TPP交渉においても基本的に自由化推進の立場で臨むとみられる。ただ、個別品目の関税撤廃の時期や仕組みなど、各国と詰めるべき項目も少なくない。英国には加盟国の理解を得られるよう柔軟な交渉姿勢を求めたい。

 

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TPPを離脱した米国は、バイデン政権下でも国内産業の保護や雇用確保を優先し、早期復帰に向かう兆しはない。一方で台湾や韓国などがTPPに関心を示し、ほかならぬ中国の習近平政権も合流への意欲をみせている。

 

TPPには国有企業の規律やデジタル分野のルールなど中国が是認しにくい項目がある。このため中国加盟のハードルは高いが、中国側が例外を求めてくる可能性は否定できない。これを断じて認めないためにも、英国との交渉に際してはTPPルールに沿う原則を明確にしておく必要がある。

 

 

2021年6月6日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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