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再び富士山噴火に警鐘を鳴らしたい

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新年早々、富士山の噴火について書くのもどうかと思ったが、富士山周辺で地震が増えている。先日、小笠原諸島で震度5強の地震が発生。南海トラフ巨大地震の前兆ではないか、との指摘もある。富士山の雄大な姿を眺める度に、その裏でひそかに進行している、もうひとつの面をリアルに想像して「ゾッ」とする。そう、この美しい富士山もいずれ噴火する宿命にあるのだ。

 

ある専門家は「富士山は300年ぶりに向けたスタンバイ状態に入った」と強く警鐘を鳴らす。富士山が最後に噴火をしたのは1707年の宝永噴火。実はその49日前に南海トラフ沿いでマグニチュード8・6の宝永地震が起きていた。多くの専門家は「宝永地震」と「宝永噴火」は連動していると考えている。今後30年のうちに70~80%の確率で起きるとされる南海トラフ巨大地震。仮に富士山噴火と重なれば、建国以来、最大規模の自然災害になるだろう。

 

 

次に専門家が注目するのは東日本大震災4日後に富士山の地下14キロで震度6強の地震が発生し、マグマ溜(だ)まりの真上の岩盤に亀裂が入ったことだ。その結果「富士山は噴火しやすい状態に入った」と衝撃が走った。「あの時に噴火しなかったのが奇跡のようだ」との声もある。

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リアルに想像してみれば火山灰は東京を越え、房総半島にまで降り注ぐ。屋根に積もった火山灰に雨が降れば重みを増し家屋を押し潰す。火力発電所は吸気フィルターが詰まり停止。ネットなどの通信網も被害を受ける。大規模停電は避けられない。最速で噴火2時間後には火砕流が富士山麓の住宅街の一部を襲う。溶岩が太平洋にまで達すれば新幹線や高速道路網も寸断。インフラもまひし、食糧危機にも襲われるのだ。

 

今はコロナ対策ばかりに意識が集中する。しかし、意識が一方向に向きやすいときにこそ気を付けなければいけない。安全保障にも通じる話だが、その隙を狙われたらひとたまりもない。その被害はコロナどころではないだろう。犠牲を少しでも減らすため、国家の中軸である首都機能が不全に陥らないためにも、対策を講じるべきである。

 

 

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筆者:野口健(のぐち・けん)
アルピニスト。1973年、米ボストン生まれ。亜細亜大卒。25歳で7大陸最高峰最年少登頂の世界記録を達成(当時)。エベレスト・富士山の清掃登山、地球温暖化問題など、幅広いジャンルで活躍。新刊は『登り続ける、ということ。』(学研プラス)。

 

 

2022年1月13日付産経新聞【直球&曲球】を転載しています

 

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