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歴史的事実に基づいて反論せよ 佐渡金山の世界遺産登録

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昨年12月28日、文化庁の文化審議会は「佐渡島の金山」(新潟県)を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産登録推薦候補に選定した。

 

佐渡金山が推薦候補に選定されるや韓国外務省は「強制労働被害の現場である佐渡鉱山を世界遺産として、登録を目指すことに対して非常に嘆かわしく、これを直ちに撤回することを求める」とコメントを発表した。韓国マスコミも「朝鮮人強制労働の現場を推薦するな」との報道を続けている。

 

政府はこのような圧力をはね返し、粛々と推薦手続きを進めるべきだ。そして官民が協力して歴史的事実に基づいた反論を行わなければならない。慰安婦や戦時労働者についてきちんとした反論をせず中途半端な対応をしてきた結果、問題はこじれにこじれた。そのような轍(てつ)をもう踏んではならない。歴史的事実に踏み込んだ国際広報こそが求められている。

 

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韓国の政府とマスコミの主張は歴史的事実に反する。昨年4月、日本政府は朝鮮人労働者の戦時動員は「強制労働」ではないという明確な閣議決定をした。

 

REUTERS/Philippe Wojazer/File Photo

 

「『募集』、『官斡旋』及び『徴用』による労務については、いずれも強制労働に関する条約上の『強制労働』には該当していないものと考えており、これらを『強制労働』と表現することは、適切ではない」

 

戦前に日本も加盟していた「強制労働に関する条約(Forced Labour Convention)」では戦時労働動員は国際法違反の「強制労働(Forced Labour)」に含まれないと明記していた。

 

2015年、端島(はしま)炭坑(軍艦島)を含む明治の産業革命遺産の世界遺産登録の際、政府が「1940年代にいくつかの施設において、その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと、また、第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる所存である」との文書を配布したが、この「働かされた」の英文が「forced to work」だった。

 

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「強制労働」ではない

 

44年9月からの徴用は法的強制力があったから「意思に反して」はいた。しかし、それは日本人が適用された徴兵・徴用でも同じだ。そのことだけをわが国は認めたのだ。国際法違反の「強制労働(Forced Labour)」は認めていない。

 

戦時動員期間に240万人の朝鮮人が内地に渡航したが、うち動員渡航者は60万人で、180万人は自分の意思で渡航した自発渡航者だ(内務省統計)。その上2~3年の契約が終わる前に約4割が条件の良い職場に移るために逃走した。朝鮮から雪崩のような出稼ぎ渡航があったのだが、それを戦争遂行に必要な事業所に秩序だって送ろうとしたのが戦時動員だった。「強制連行」「強制労働」などとは異なる歴史的事実だ(詳しくは西岡力編『朝鮮人戦時労働の実態』産業遺産国民会議)。

 

佐渡金山における朝鮮人戦時労働の実態について書こう。39年から行われた戦時動員で合計1519人の朝鮮人労働者が佐渡金山で働いた(平井栄一編『佐渡鉱山史』)。うち66%にあたる1005人は佐渡鉱業所の募集担当者が現地で行った「募集」に応じた者たちだ。第1陣の募集では「一村落二〇人の募集割当てに約四〇人の応募が殺到した」(相川町史編纂委員会編『佐渡相川の歴史・通史編・近現代』)という。

 

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待遇がよかった証拠

 

待遇も悪くなかった。賃金は内地人と同じ、坑内夫は採掘量に応じた出来高払いで、「精勤賞与」「勤労賞与」もあり、契約を更新すると奨励金が出た。家族持ちのための家族宿舎、単身者のための寮は無料で、1食50銭(実費不足分は会社負担)で食事が出た(佐渡鉱業所「半島労務管理ニ付テ」)。労働者のために鉱業所が直営農園で甘藷(かんしょ)、馬鈴薯(ばれいしょ)、野菜を栽培し養豚をしていた(新潟日報42年4月8日)。

 

終戦時には1096人が残っていたが、45年12月までに数人の佐渡在留希望者以外全員が帰還した(『佐渡相川の歴史』)。最近、韓国マスコミはきちんと賃金をもらっていなかった証拠だとして鉱業所が49年2月25日に朝鮮人労働者1140人に対する未払い金として23万1059円59銭を供託していた記録が見つかったと大きく報じた。しかし、これは反対に待遇がよかった証拠だ。

 

韓国の学者、李宇衍氏は45年の朝鮮人労働者の賃金は「少なくとも月一二〇円」(『反日種族主義との闘争』)と推計。未払い金は1人当たり203円で、2カ月分の賃金にもならない。退職手当や賞与なども含め、1人当たり1カ月分程度の賃金の未払いが戦後の混乱で生まれ、鉱業所は供託という手続きで、できる限りの対応をしていたことがわかる。

 

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筆者:西岡力(モラロジー道徳教育財団教授・麗澤大学客員教授)

 

 

2022年1月26日付産経新聞【正論】を転載しています

 

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