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【主張】新原発の安全証明 高温ガス炉が本領示した

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全電源喪失に遭遇しても原子炉の溶融などは起き得ない安全性が実証された。日本原子力研究開発機構が1月28日、高温ガス炉「HTTR」(熱出力3万キロワット、茨城県大洗町)で実施した国際共同試験の結果である。

 

実験は冷却材・ヘリウムガスの循環を止めるなどして作り出した、全電源喪失に相当する過酷な条件下で実施された。

 

HTTRの反応は順調だった。高温ガス炉に備わる固有の安全性の機能のみで、制御棒を用いることなく原子炉は自動停止し、炉心の自然冷却も進行した。

 

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東京電力福島第1原子力発電所の事故では全電源喪失で炉心が溶融し、広い地域が放射能で汚染された。だが高温ガス炉では、福島第1原発と同じ事故に遭遇してもそうした事態には至らない。それが理論だけでなくHTTRを用いた試験で再確認されたのだ。

 

日本の高温ガス炉開発は世界の最先端に位置している。中国も別タイプの高温ガス炉の開発を進めているが、今回のレベルの安全性実証試験の実施は、HTTRが世界で初めてだ。経済協力開発機構の原子力機関(OECD/NEA)との共同プロジェクトとして行われた。

 

 

3月には原子炉の出力を今回の30%から100%に高めて次の実証試験を行う。データを増やすとともに、高温ガス炉が大事故とは無縁の原子炉であることを国内外に広く認識してもらう考えだ。

 

また、原子力機構は、令和4年度からHTTRの1千度に近い高温を利用する水素製造の施設設計に着手する。最初は天然ガスから水素をつくり、次の段階でヨウ素と硫黄と水を用いるのみで二酸化炭素を全く出さずに水素を大量生産する技術につなぐ計画だ。

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実用段階の高温ガス炉では発電しながらグリーン水素を得るので究極の脱炭素電源だ。しかも高温ガス炉は太陽光発電など再エネの宿命的な弱点である出力変動を吸収する能力も備え持つ。だから火力発電の比率も下げられる。

 

従来の原子力発電は高い利便性の半面、大事故が起きた場合の危険性が憂慮され、国内では再稼働の遅れの一因になっている。

 

そうした中で、高温ガス炉の画期的な安全性が実証された。実用炉への開発加速に国の注力強化が望まれる。原子力分野の人材育成にもつながるはずだ。

 

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2022年2月4日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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