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ウクライナを教訓に日本は「脱・平和ボケ」を

Published

on

3.11

REUTERS/Viacheslav Ratynskyi

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国家の主権が他国の武力によって踏みにじられる光景を、我々日本人はしかと目に焼き付けるべきである。アジアでは中国が軍事的圧力を強めており、今日のウクライナは明日の日本になるかもしれないからだ。

 

ウクライナはロシアにクリミア半島を奪われてから8年間、兵力を約26万人に増大し、装備も充実させた。それでも、プーチン・ロシア大統領に侵攻をためらわせるまでには至らなかった。ゼレンスキー・ウクライナ大統領が予備役招集の大統領令に署名したのは侵攻のわずか2日前で、情報収集・分析が不十分だったことも露呈した。

 

迫る核保有国の脅威

 

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2019年10月、中国建国70周年軍事パレードで披露された中距離弾道ミサイル(AP)

 

そんなウクライナを日本は嗤わらうことができようか。固有の領土である北方領土を旧ソ連に奪われ、竹島も韓国に不法占拠され続けている。尖閣諸島周辺海域では中国海警船による領海侵入が繰り返されている。

 

長らく「国防」という意識が希薄だったのが日本である。高度経済成長時代、「軽武装・経済重視」を主導したのが自民党のハト派を代表する宏池会で、その9代目会長が岸田文雄首相である。

 

岸田首相は広島選出ということもあり、「核廃絶」に強いこだわりを持つ。ウクライナ情勢をめぐりプーチン大統領は核兵器の使用をちらつかせて恫喝している。ウクライナのクレバ外相は米FOXニュースの番組で「1994年の核放棄決定は賢明な判断ではなかった」と語った。岸田首相はこの発言をどう受け止めるのか。核廃絶という理想を掲げるのはいいが、同時に、核兵器の抑止力をどう生かすかを真剣に検討すべき時に来ている。

 

核保有国であるロシア、中国と海を挟んで接しているのが日本なのだ。安倍晋三元首相は中露両国と同時に対峙するのは避けたいと、プーチン大統領との間で交渉を重ね、中露分断を試みたが、成功しなかった。

 

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2021年10月、日本近海を航行するロシアの艦船(ロイター)

 

日本の防空識別圏に入る中国やロシアの空軍機に対し、航空自衛隊機が緊急発進(スクランブル)をかけた回数は昨年5月に26回だったが、11月には127回と5倍近くに増えた。加えて、中国やロシアの軍艦による日本周辺の航行も増加した。特に中露共同での飛行や航行が目立った。アジアにおける中露の連携は進んでいる。

 

 

祖国防衛に必要な軍事力強化

 

我が国が唯一の同盟国である米国との連携を一層強化するのは当然だが、それだけでは十分ではない。米国の威信が揺らぐなかで、日本がなすべきことは明白だ。「戦力不所持、交戦権否認」を掲げる憲法を改正し、国防力を高めることである。

 

防衛費の大幅増額はもちろん必要だが、侵略者の行動を抑止するには、敵地攻撃能力を持つ中距離ミサイルの保有を急ぐべきだ。

 

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武力を信奉する相手には、武力以外は説得力を持たない。

 

筆者:有元隆志(国基研企画委員・産経新聞月刊「正論」発行人)

 

 

国家基本問題研究所(JINF)「今週の直言」第891回(2022年2月28日)を転載しています

 

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