【主張】ロシア非難決議 撤退が国際社会の総意だ
3月2日、ウクライナに侵攻したロシアを非難する決議を採択した
国連総会の緊急特別会合(3月2日、AP)
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撤退が国際社会の総意である。ロシアのプーチン大統領は決議を真摯(しんし)に受け止め、軍をただちにウクライナから撤収させなければならない。
国連総会の緊急特別会合で採択されたロシア非難決議は、日米など96カ国が共同提案し、加盟193カ国のうち141カ国が賛成した。反対は、当事者であるロシアのほか、北朝鮮などわずか5カ国だった。
決議は、ロシアのウクライナ侵攻に最も強い言葉で遺憾の意を表明し、プーチン氏による「特別軍事作戦」の宣言や核部隊の警戒態勢引き上げを非難した。即時、無条件の軍の撤退を要請した。
決議の採択に先がけ、ロシアが国連安全保障理事会で、同趣旨の非難決議案を、握りつぶしたことに留意せねばならない。
15理事国のうち、11カ国が賛成し、中国など3カ国は棄権したが、ロシアは常任理事国の持つ拒否権を行使し、退けた。
これを受けて招集された緊急特別会合での決議案採決は、全国連加盟国に開かれた、安保理での採決のやり直しである。総会決議は安保理決議と違い、法的拘束力を持たないが、だからといって、プーチン氏が軽んじることがあってはならない。
2月28日から3日間にわたって開かれた会合では、約120カ国の代表が意見表明し、相次いでロシアの侵攻を非難した。
鮮明になったのは、外相が登壇したドイツをはじめ、欧州諸国の対露結束への断固とした姿勢だ。日本も歩調を合わせ、さらなる圧力強化を図るべきである。
ロシアの国際的孤立は想像以上の速さで深まっている。国内でも抗議デモが広がりを見せている。プーチン氏はなぜ、自身が危うい立場にあると考えないのか。
気がかりなのは、非難決議案採決を棄権した中国やインドの動向である。ロシアに対する制裁は安保理でなく、米欧や日本がそれぞれ単独で実施しており、中国やインドが救済の手を差し伸べる可能性がある。対露圧力に抜け道があってはならない。
米欧や日本がロシアへの圧力強化を模索する間もロシア軍の進撃はやまず、ウクライナでは民間人の犠牲者が増えている。
重要なのは、一刻も早く戦闘を停止することだ。ロシア軍は速やかに攻撃をやめ、ウクライナから立ち去るべきである。
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2022年3月4日付産経新聞【主張】を転載しています
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