fbpx
Connect with us
Advertisement

【主張】佐々木の完全試合 スポーツの魅力に学ぼう

Published

on

~~

 

圧巻だった。史上最年少、20歳5カ月での完全試合、1試合19奪三振の日本タイ記録、大リーグを超える13者連続奪三振の新記録などで度肝を抜いたロッテの投手、佐々木朗希の快投である。

 

最速164キロの直球、150キロ近いフォークボール、120キロ台のカーブを投げ分けさせた18歳の新人捕手、松川虎生のリードも見事だった。フルスイングで大記録を献上したオリックスの選手らも、どこか楽しそうにみえた。

 

スポーツの魅力に満ちあふれた試合だったといえる。

 

Advertisement

完全試合と連続奪三振新記録を達成し、花束を手にスタンドの拍手に応えるプロ野球ロッテの佐々木朗希投手=4月10日、ZOZOマリンスタジアム(共同)

 

佐々木は東日本大震災で家を流され、父と祖父母を失った被災者である。中学時代から注目の投手だったが、自身で東北にとどまることを選択した。大船渡高校(岩手)の国保陽平監督は3年夏の県大会決勝で故障回避のため佐々木を試合に出さず、甲子園出場を逃した。賛否かまびすしい中、師弟の信念は揺るがなかった。

 

入団したロッテも1年目は2軍戦出場さえさせず、肉体強化に専念させた。昨季も登板は11試合に過ぎなかった。高校時代にすでに160キロの速球を投げた大器を、よくぞここまで温存したものだと感心する。高校で、プロで、周囲が結果を急がず、逸材を壊さず、大事に育てた末の快挙だった。

 

そこには多くの参考がある。行き過ぎた成果主義は、成長の妨げとはなっていないか。

 

この週末は、さまざまなスポーツの場面に出合った。WBAスーパー王者の村田諒太はカザフスタンの英雄、ゴロフキンとミドル級王座統一戦で互角に打ち合った。世界王座17連続KO防衛など数々の記録を誇る怪物を相手に最後は力尽きたが、敗戦にも感動があることを改めて教えられた。

 

Advertisement

Gennadiy Golovkin punches Ryota Murata during their IBF/WBA middleweight unification boxing title match at Saitama Super Arena on April 9. (Shuji Kajiyama/AP)

 

ゴルフの祭典マスターズ・トーナメントでは、昨年2月の交通事故で右膝とすねを粉砕骨折したタイガー・ウッズが長いリハビリを経て1年5カ月ぶりに復帰した。痛々しく脚を引きずりながら随所でスーパープレーをみせ、予選を突破して4日間を戦い切った。ウッズは総立ちの観衆の拍手に笑顔で応じ、「つらい日々がたくさんあったが、次に進むことを楽しみにしている」と述べた。あきらめてはいけないということだ。

 

Tiger Woods tees off on the third hole on April 7. (Jonathan Ernst/REUTERS)

 

彼らの才能を誰もが持ち合わせることは不可能だが、教訓や勇気を受け取ることはできる。スポーツは、だから楽しい。

 

 

2022年4月12日付産経新聞【主張】を転載しています

 

Advertisement

この記事の英文記事尾を読む

 

 

Continue Reading
Click to comment

You must be logged in to post a comment Login

Leave a Reply

Our Partners