Go To トラベル、拭えぬ課題 恩恵は高価格帯に偏在

 

政府の観光支援事業「Go To トラベル」が東京関連の旅行や地域共通クーポンも含めた“完全版”として始まってから7日で1週間となる。最初の週末には各地の観光地が多くの人出でにぎわうなど経済効果への期待も高まる。ただし特定の観光地に人気が集中したり、小規模の宿泊施設には恩恵が及ばないなどの問題点も指摘される。トラベル事業の予算は1兆3500億円で、来年度以降の支援継続を期待する声もある。

 

「お昼ご飯を食べてもクーポンが1万円ほど余った。職場へのお土産を多めに買いました」

 

東京都在住の会社員の女性(47)はトラベル事業の完全版開始後初の週末だった4日、家族で訪れた神奈川県・箱根の芦ノ湖畔の土産物店で満足げに話した。家族4人の宿泊代も35%引き。予約をしたのは東京都民が除外されていた時期だったが、1日からの「東京追加」と「クーポン配布」で二重の恩恵にめぐまれた。泊まった旅館は満室だったという。

 

トラベル事業の利用者の間では、割引価格で宿泊できる高級な旅館やホテルが人気だ。石川県の旅行会社の担当者は「高価格帯の旅行商品から順番に売れる」と話す。一方、もともと格安な宿泊施設や有名観光地以外の宿泊施設までは恩恵が届きにくいとの声もある。

 

大和総研の鈴木雄大郎エコノミストは、トラベル事業の効果に地域差が出る要因の一つは、補助額を5千円や1万円などの一定額とせずに、補助の割合を一定としている点にあると分析する。トラベル事業は国内旅行代金の半額を国が支援する内容で、宿泊など旅行代金の35%分の補助と、15%分の地域共通クーポンで構成される。鈴木氏は旅行者がトラベル事業の利点をすぐに得たいと考えれば、「単価の高いところに流れる」と指摘する。

 

貸し切りバスや鉄道など公共交通機関への経済効果が限定的であることも課題といえそうだ。赤羽一嘉国土交通相は6日の記者会見で、「マイカーによる移動手段が中心で、公共交通機関の利用が少ない。鉄道などのパッケージ(商品)を作らなければ、との声も聞かれる」と述べた。

 

ただし課題が残るトラベル事業とはいえ、観光業界にとっては希望の光だ。石川県の旅行会社の担当者は「全観光業者に効果がいきわたるのは難しそうだが、GoToの期間が来年度以降まで延びればよいのに」と話した。

 

筆者:岡田美月(産経新聞)

 

 

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Mizuki Okada

Author:

Mizuki Okada is a staff writer for International News Section of The Sankei Shimbun and JAPAN Forward. She is a former corporate banker for Japanese megabank.

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