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【主張】サンマ枠の削減 国・地域別の設定を急げ

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日本人にとってサンマは、秋から冬にかけて食卓に上る身近な食文化の代名詞だ。その味と香りを将来にわたり楽しむためにも、国際的なルールづくりは欠かせない。

 

サンマの資源管理を話し合う国際会議「北太平洋漁業委員会(NPFC)」が開かれ、現行の漁獲枠を40%削減することで合意した。2021年から2年間適用する。

 

日本はここ数年の記録的な不漁を受け、漁獲量の規制強化を提案していた。その意味で今回の合意は一歩前進といえる。

 

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漁獲枠削減に慎重だった中国や台湾も不漁続きで危機感を持ち歩み寄った。関係国が足並みをそろえ資源保護に取り組む動きを歓迎したい。

 

NPFCは、日本や中国、台湾など8カ国・地域が参加する。不漁が深刻化するサンマの漁獲枠導入について19年の年次会合で初めて合意した。昨年6月に予定されていた会合が延期され、2月末にオンラインで開催された。

 

総漁獲枠は現在55万6250トンだが、規制前の総漁獲量44万トンを上回る緩い内容で資源保護の観点で効果が疑問視されていた。このため、今回は40%削減で総漁獲枠を33万3750トン、このうち公海の漁獲枠も19万8千トンとした。日本とロシアの排他的経済水域(EEZ)内の割り当ては13万5750トンとなった。

 

注意したいのは、大幅削減で合意こそしたが、サンマの持続的な漁が科学的に保証されたわけではないことだ。末永くその味を楽しむには、合意の実効性を高める努力が欠かせない。漁船衛星監視システムの運用や操業隻数、水揚げ量といった細かなデータ分析を基に、加盟国に合意の履行を絶えず迫っていく姿勢が求められる。

 

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日本は前回の会合に続き、資源保護でより実効性が高い国・地域別の漁獲枠の設定も提案した。それが合意に至らなかったことは残念だ。次回は、規制強化を求めるロシアなど他の加盟国を巻き込んでの取り組みが課題となる。

 

国・地域別の漁獲枠設定を提案し、加盟国の同意を取り付けるには科学的な根拠が必要となる。サンマの資源量をより明確に示すためのデータを収集し、説得に全力を傾けてもらいたい。

 

資源を守る地道な努力が日本のサンマ漁を守り、季節を感じる食文化を育むことにつながる。

 

 

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2021年3月1日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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