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【主張】超満月の皆既食 基地建設の日も遠くない

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26日夜に壮大な天文現象が展開される。

 

満月が赤黒く陰る皆既月食だ。しかも、ひときわ大きく見えるスーパームーンときている。

 

午後8時過ぎのことなので子供が眺められるのもうれしい。コロナ自粛が続く中での屋外イベントだ。この好機を逃す手はない。サイエンスの原点につながる奥深いときめきも体感したい。

 

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スーパームーンは、地球を回る月の軌道が楕円(だえん)形であることで起きる。満月は年に12回あるが、地球に近い位置で迎える満月がスーパームーンと呼ばれている。

 

地球から最も遠いときの満月よりも約5万キロ近いため、明るさは30%増し、サイズも14%増で見えるので印象的だ。

 

今回のスーパームーンの皆既食は日本全国で眺められる。欠け始めは午後6時45分で、皆既状態は8時9分から約20分間、続く。

 

この間、太陽と地球と月は一直線上に並び、地球が宇宙空間に投げる丸い影の中に月全体が入って皆既月食が起きるのだ。

 

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暗く赤くなるのは、地球の外縁で屈折した太陽光線の赤色部分だけが月面に届くことによる。

 

地球から38万キロかなたの、この天体に近年、宇宙開発の手が伸びつつある。月の天然資源の開発や火星探査への中継基地としての具体的な利用が、米中露などの視野に入っている。

 

米国を中心に再度、人類の月面着陸などを目指す「アルテミス計画」や月周回の宇宙基地「ゲートウエー」の建設計画が進む。

 

それに対抗する形で、中国も月面基地の建設やレアアース(希土類元素)などの資源探索に意欲を示す。3月にはロシアとの提携が発表された。

 

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月開発で真っ先に探し求められる資源は水であるという。宇宙飛行士の生存に必要であるだけでなく、電気分解で酸素と燃料になる水素が得られるためだ。

 

日本も月周回衛星「かぐや」による詳細な科学観測で多くの成果を挙げてはいるものの、インドなどの追い上げも急だ。うかうかしていると新興勢の後塵(こうじん)を拝することになりかねない。宇宙新時代への政府の意識改革が必要だ。

 

スーパームーンの皆既食では空模様が気がかりだが、ハワイなどからのライブ配信も予定されている。次の楽しみは、月面に立つ日本人宇宙飛行士の誕生だ。

 

 

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2021年5月23日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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