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【主張】米韓首脳会談 「対北圧力」をなぜ言わぬ

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バイデン米大統領と韓国の文在寅大統領がワシントンで会談し、両首脳は北朝鮮の完全非核化に向け「現実的な措置」を取る外交方針を共有していることを強調した。

 

米国が新たな北朝鮮政策をまとめたことを受け、米韓首脳が並び立って、完全非核化への決意を表明した。北朝鮮と向き合うとき、日本を加えた3カ国がしっかりと連携し、隙を見せないことが何より重要である。

 

会見の場で、米政府の北朝鮮担当特使の任命も発表された。米国の新たな政策の詳細は明らかにされていないが、外交交渉を積み上げていこうというのだろう。

 

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もちろん、北朝鮮の核開発に時間を与えるわけにはいかない。だが、過去の交渉では、核開発凍結などの約束を平気で破った相手である。拙速は禁物だ。

 

はっきりしているのは、北朝鮮を動かすには、軍事面も含めた強い圧力が欠かせないということだ。首脳会談では「深い懸念」が表明され、国連決議の厳格履行もうたわれたが、これでは不十分だ。金正恩総書記に向けた厳しいメッセージがほしかった。

 

さらに、気がかりなのは、今後の見通しについて、米韓で明らかに違いがあることだ。

 

バイデン氏は会見で、北朝鮮の非核化に「幻想は抱いていない」と述べ、金正恩氏との直接会談については「非核化の議論の確約が先決」とクギを刺した。

 

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これに対し、南北融和を政権の最優先課題とし、残り任期が1年を切った文氏は南北関係の前進や米朝対話再開の仲介に意欲を示している。米韓の足並みの乱れは北朝鮮を利するだけだ。

 

米中対立の激化を受け、中国をにらんだ日米韓の連携強化も重要な課題となった。台湾問題を共同声明に盛り込んだのは、米側の成果といえよう。

 

声明は「台湾海峡の平和と安定を守る重要性を強調する」とし、名指しを避けながら中国を牽制(けんせい)した。4月の日米首脳の共同声明や今月初めの先進7カ国(G7)外相声明を踏襲するものだ。日米豪印による「クアッド」の重要性も明記された。

 

だが、香港の民主化弾圧やウイグルでの人権弾圧には触れないなど、中国へのメッセージも十分とはいえない。文政権には韓国が民主主義陣営の一員であることをもっと明確に示してもらいたい。

 

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2021年5月23日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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