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【主張】独新政権発足へ 中国偏重から転換を急げ

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欧州連合(EU)を牽引(けんいん)するドイツで新政権が近く発足する。メルケル長期政権による中国重視から、「自由で開かれたインド太平洋」を重んじる外交への明確な転換を期待したい。

 

9月の総選挙で第1党となった中道左派の社会民主党(SPD)と、環境政党の緑の党、中道右派の自由民主党(FDP)が連立政権の樹立で合意した。SPDのショルツ氏が首相に就任する。

 

連立協定は、環境と人権を重視するものとなった。

 

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気候変動対策では、石炭火力発電を2038年までに全廃するとしたメルケル政権の方針を前倒しして、30年までの全廃を打ち出した。急進的な反石炭火力の政策が安定的なエネルギー供給と両立するか疑問である。

 

一方、外交安全保障は、中国などの強権統治を念頭に人権問題を重視する姿勢をとった。「自由で開かれたインド太平洋」戦略を推進する一環として、日本やオーストラリア、インド、韓国などとの関係強化を目指す。

 

中国政府による新疆ウイグル自治区での人権弾圧を問題視し、香港の「一国二制度」の維持も求めるとした。南、東シナ海での紛争は国際法に基づいて解決する必要があると訴え、台湾海峡の現状変更は、平和的かつ相互の合意によってのみ解決できるとした。

 

軍事力を振りかざして台湾などを威嚇する中国に自制を求めたものといえる。台湾の国際機関参加を後押しすることも表明した。

 

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独自動車大手フォルクスワーゲンが利益の4割を中国市場からあげるなど、メルケル政権は中国に依存して独経済拡大を図ってきた経緯がある。

 

それにもかかわらず、ドイツの新政権が、日本や豪州など、人権や自由と民主主義といった基本的価値を尊重する国々と連携する方針であることを歓迎したい。ドイツは来年の先進7カ国(G7)の議長国でもある。新政権が人権や国際法を守るため動くことが期待される。

 

中国政府は、ドイツの連立協定の中国関連の部分に対して内政干渉だと反発を強めている。

 

日本はドイツと似て、中国と深い経済関係にある。日独両政府は、中国政府の批判や反発にたじろぐことなく、自由で開かれたインド太平洋を守るため協力を進めてもらいたい。

 

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2021年12月3日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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