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晴れて成人となりこの日を迎えた皆さん、おめでとうございます。
昨年4月の民法改正で成年年齢が18歳に引き下げられて以降、初めて迎える成人の日だ。
総務省によると、今年1月1日時点で18歳から20歳の計341万人が大人の仲間入りをした。18歳が112万人、19歳は113万人、20歳は117万人である。いずれも総人口に占める割合は1%以下で、人口減少と少子高齢化の現状は厳しい。
このうち10代は「成人」の定義が変わった転換期に、たまたま居合わせたことになる。とまどいもあるだろうが、それも長い目で見れば人生の一ページだ。一人一人が大人の自覚を持ち、かけがえのない日々を歩んでもらいたい。
一方で、むしろ頭を悩ませたのは大人たちの方だろう。多くの自治体が例年、正月から成人の日を含む連休にかけて「成人式」を開いている。ところが、今年は何歳を招くか、また式典の名称をどうするかに腐心した。
結果、式典参加は受験や就職で忙しい18歳に配慮し、多くが従来通り20歳のみを対象とした。名称も「二十歳の集い」や「二十歳を祝う会」など、従来の成人の日から変更している。
こんな調査がある。改正民法が成立した平成30年、日本財団が全国の17~19歳(当時)の男女を対象に、成人式についての意識調査を行った。
すると全体の約7割が成人式には「出席したい」とする一方、何歳で式を行うのがふさわしいかは74・0%が「20歳」と答え、「18歳」は23・9%だった。
理由は「18歳は受験に重なるから」が最も多く、出費が重なるためか「金銭的に余裕がない時期だから」との声もあった。
現状を見渡せば、世界はロシアによるウクライナ侵略に揺れ、日本では円安に物価高と、新成人を取り巻く社会環境は厳しい。
でも、そんなときこそ、詩人のこんな言葉が心に響く。
茨木のり子は、大人には「こんな時代を生きる若者を軽々しくののしるな」といった。そして若者には冷徹にも「駄目なことの一切を/時代のせいにはするな」「自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ」と言い放った。
自分を大切に生きる人は、他の人も大切にできる。そんな大人になってほしい。
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2023年1月9日付産経新聞【主張】を転載しています