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Prime Minister Liz Truss reads a tribute out in the House of Commons, following the death of Queen Elizabeth II on Thursday, in London, Friday Sept. 9, 2022. (House of Commons/PA via AP)

英国のトラス新首相=9月9日、ロンドン(AP)

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英国の新首相に保守党のトラス前外相が決まった。サッチャー、メイ両元首相に続く英史上3人目の女性首相である。

 

トラス氏は、強い信念に基づく政治を貫いたサッチャー氏と重ねられ、「鉄の女」と評されているが、すぐに真価が問われることになる。

 

物価高対策をはじめとする経済政策の推進が求められている。同時に、ジョンソン政権の外交安全保障路線を継承し、世界の秩序を守るリーダーとして行動しなければならない。

 

ロシアのウクライナ侵略が続いている。英国はウクライナ支援の中心国だ。対露制裁も米英が主導している。侵略を挫折させるためにトラス氏には指導力を発揮してもらいたい。

 

オースティン米国防長官との会談に向かう中国の魏鳳和国務委員兼国防相=6月10日、シンガポール(ロイター)

 

トラス氏が中国を、国家安全保障に対する「脅威」とみなしているのは妥当だ。経済面で対中依存からの脱却を進め、対中技術輸出も制限する方針だ。

 

英国など欧州諸国にとって、対露政策での日本の協力は欠かせない。一方で、覇権主義的な中国を抑止し、「自由で開かれたインド太平洋」を実現するために、日本は英国などとの協力を必要としている。

 

トラス氏には、インド太平洋地域への関与をさらに増してもらいたい。英国は昨年、空母打撃群を日本に寄港させるなど、この地域でプレゼンスを高めてきた。次期戦闘機の日英共同開発が実現すれば安全保障関係は一層深まる。

 

両国の経済協力も進めたい。英国の欧州連合(EU)離脱を受け、トラス氏は国際貿易相当時、日本と経済連携協定(EPA)を結んだ。日本が主導する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟申請も行った。

 

英国は、太平洋の島を領土に持つ、れっきとした太平洋国家の一員だ。経済、外交安全保障で日英連携を進めることが、国際秩序と両国の平和と繁栄を守る。

 

 

日英貿易交渉に臨む茂木敏充外相(左から2人目)とトラス英国際貿易相(右から2人目、いずれも当時)=2020年8月6日、ロンドン(外務省提供)

 

英国は、ロシアのウクライナ侵略に起因するエネルギー価格高騰に見舞われるなど、記録的な高インフレに悩んでいる。国民の不満は鬱積し、国の舵(かじ)取りは多難を極めるだろう。トラス氏は「減税を実施し、経済成長させる大胆な計画を実行し、エネルギー危機を解決する」と語った。これらの成否や日本との協力深化が、トラス氏が国際社会で積極的に行動できるかどうかを左右するはずだ。

 

 

2022年9月7日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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