20220701 Hong Kong 25th 000 Xi Jinping

China's President Xi Jinping gives a speech following a swearing-in ceremony to inaugurate the city's new government in Hong Kong Friday, July 1, 2022, on the 25th anniversary of the city's handover from Britain to China. (Selim Chtayti/Pool Photo via AP)

香港返還25年記念式典で、演説する中国の習近平国家主席
=7月1日、香港(AP)

~~

 

香港が英国から中国に返還されて25年の節目を迎えた。記念式典には中国の習近平国家主席(中国共産党総書記)が出席し「一国二制度は成功した」と述べ、「そのような良い制度を変える必要はない」と強調した。

 

開いた口がふさがらないとはこのことだ。2年前に香港国家安全維持法(国安法)を施行し、香港に高度の自治を認めた一国二制度を破壊したのは習政権である。

 

香港では、国安法によって多数の民主派が逮捕・起訴され、言論、集会、報道などの自由が奪われてしまった。中国共産党が1984年に調印された中英共同宣言を通じ、香港の資本主義体制を返還後50年間維持すると国際公約したにもかかわらず、である。

 

習政権が「一国二制度」の偽看板を掲げながら、香港で推し進めているのは、香港の中国化にほかならない。民主派団体や民主派系メディアを解散に追い込み、公務員や学生、児童への愛国教育を強制的に行っている。

 

今回の記念式典でも「保安上の理由」から内外の一部記者が取材を拒否された。式典前に当局に連行された民主活動家もいる。中国本土で日常化しているのと同じ弾圧で、香港の中国化が加速している現状を如実に示すものだ。

 

7月1日、香港市街地で通行規制する警官ら(AP)

 

そもそも返還25年の式典自体が茶番である。一国二制度が失われた香港で一体何を祝うのか。中心部は赤い中国国旗で埋め尽くされたが、祝賀ムードに浸る市民がどれだけいたことだろう。今秋の中国共産党大会で総書記の続投を狙い、自らの成果を誇示したい習氏のための式典ではないか。

 

習氏が「一国二制度の成功」を喧伝(けんでん)する中で懸念されるのは、民主派が弾圧され、市民の自由が奪われている香港の現状が忘れ去られてしまうことだ。

 

ブリンケン米国務長官は声明で香港が自由を取り戻すため「香港の人々と連帯する」と表明し、ジョンソン英首相も中国に国際公約の順守を迫った。

 

先日の先進7カ国首脳会議(G7サミット)でも、香港に高度の自治を保障するよう中国に求める首脳声明を発表した。

 

大事なことは、一国二制度を崩壊させ、香港を死に至らしめた習政権の責任を国際社会が糾弾し続けていくことだ。アジアの民主主義国家を代表する日本がそれを主導すべきである。

 

 

2022年7月2日付産経新聞【主張】を転載しています

 

この記事の英文記事を読む

 

 

コメントを残す