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令和3年1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値が年率換算で5.1%減となり、3四半期ぶりのマイナス成長に陥った。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて1月に発令された2度目の緊急事態宣言で消費が大きく落ち込んだためだ。
これにより2年度の実質GDPはリーマン・ショック時を超える戦後最悪の4.6%減となり、2年連続でマイナスを記録した。コロナ禍に伴う歴史的な景気悪化を裏付ける数字である。
足元では、3度目の緊急事態宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置の拡大で経済活動が人為的に制限されており、4~6月期もマイナス成長となる可能性がある。
景気回復が顕著な米国などと比べて日本のワクチン接種は極めて遅く、それが苦境から抜け出せない要因となっている。経済の本格回復のためにもワクチン接種を急ぐべきは当然だが、それまでの間に企業活動や暮らしが立ち行かなくなってはならない。政府は適切な財政措置で経済の下支えに向けてさらに尽力すべきである。
1~3月期は内需の柱である個人消費が1.4%減だった。飲食店の営業時間短縮や昨年末の「Go To」事業停止の影響で、飲食・宿泊などのサービス分野を中心に冷え込んだことが大きい。
一方でゲームやネット通販などの巣ごもり需要を取り込んだ企業や、米国、中国などの輸出に支えられた製造業には業績が上向いたところもある。二極化を意味する「K字型」の経済は業種間にとどまらず、正社員と非正規社員の違いなどあらゆる面で鮮明だ。放置して格差が固定化すれば、コロナ収束後の経済活力も阻害する。
3度目の緊急事態宣言で事業継続が難しくなっている事業者も多い。真に支援を必要とする企業や個人に向けた効果的な手立てを講じることが急務である。
失業増を防ぐための雇用調整助成金の機能拡充など万全の安全網を構築すべきはもちろん、時短営業の要請に応じた飲食店などへの協力金の支給も円滑かつ迅速に行う必要がある。実情に応じて支給額を見直す柔軟さも求めたい。
2度目の緊急事態宣言時の時短協力金は、自治体によって支給時期が大幅に遅れるところが相次いでいる。手続きの停滞で企業活動が一層厳しくなるようでは景気の底が抜けかねない。
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2021年5月19日付産経新聞【主張】を転載しています