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米国のエマニュエル駐日大使は18日までに産経新聞の単独インタビューに応じ、バイデン大統領の22日からの来日に合わせ、日米が宇宙や医療・保健分野での協力強化を打ち出すとの見通しを明らかにした。米主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」について、中国が招待されることはないとの認識も示した。エマニュエル大使の単独インタビューは日本の主要紙で初めて。
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エマニュエル氏は、23日の日米首脳会談などバイデン氏来日での「大きな成果物の一つ」は「宇宙分野における日米の協力と連携になる」と指摘。宇宙からの情報収集などで協力強化を進める意向を示した。
宇宙空間では中露の軍事的脅威が高まっていることに加え、衛星などを使った情報収集能力の向上が日米の課題となっている。
バイデン氏が来日中に設立を表明する見通しのIPEFは「経済規模や経済力に関係なく、合意したルールに従うことが基本だ」と指摘。「中国がルールに従っているという話はない」とし、中国側も「参加してこないだろう」と述べた。IPEFを「経済外交」のツールとし、インド太平洋地域の国々と関係を強めていく考えも示した。
またロシアのウクライナ侵略を受け、バイデン氏と岸田文雄首相が欧州やアジアの国々と連携し、地理的に離れている「欧米の同盟関係やインド太平洋の枠組み」を統合的な戦略にしていると説明し、両首脳の連携が機能していると強調した。日本の対露制裁については「非常に迅速な決定でバイデン氏はとても高く評価している」と語った。
中露をはじめとする独裁国家に対し、日米は「同盟諸国との間で経済や安全保障で関係を深化させ」、東南アジア諸国連合(ASEAN)や島嶼(とうしょ)国などを引き込む政策を進めていく必要性があるとも指摘した。
バイデン氏は来日中、岸田氏と「昼食や夕食をともにする」予定であることを明らかにし、会談など一連の対話を通じて首脳間の信頼関係が深まることに期待を示した。
筆者:坂本一之(産経新聞)
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【プロフィル】ラーム・エマニュエル氏
1959年、米シカゴ生まれ。クリントン政権で大統領上級顧問を務め、下院議員を経て2009年にオバマ政権の大統領首席補佐官。11~19年にシカゴ市長を2期務め、教育・育児制度の改革などを実行した。今年1月に来日し駐日大使に着任。家族はエイミー夫人と子供3人。
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