[SPONSORED] 日本食の象徴ともいえる寿司の職人技を再現した寿司ロボットの進化が止まらない。その進化形ともいえる最新ロボットが4月、大阪・関西万博にお目見えする。何が進化したのか。
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握り寿司用のシャリ玉を量産する鈴茂器工の寿司ロボット (©JAPAN Forward)

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世界初の「寿司ロボット」を開発した米飯加工機械の世界的トップメーカー、鈴茂器工は、「米飯加工機械業界のエジソン」である。革新的な技術と伝統的な職人技を融合させた寿司製造の「芸術」を創り上げ、今や世界90カ国以上に輸出されている。

今年4月から10月にかけて開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)には鈴茂器工の最新の米飯加工ロボットが登場する。象印マホービンが大阪外食産業協会のパビリオンに出店するおにぎり専門店に、半自動のおにぎり製造システムを提供する。

革命もたらした世界初の寿司ロボット

鈴茂器工が世界初の「寿司ロボット」を開発、販売したのは1981年。それまで日本では高級な食べ物だった寿司を、大衆的な食べ物へと変えることに貢献した。寿司職人が何年も修行を重ねて習得したご飯の握り具合を機械が実現し、短時間で大量に生産できるようになったのだ。当時は日本国内で「回転寿司」レストランが拡大している時代。熟練の寿司職人がいなくても、鈴茂器工の寿司ロボットが厨房で支援し、多くの客に寿司を安価で提供できるようになり、外食産業の革命に繋がった。

本格的な寿司店は、「特別な時に行く店」「裕福な人が行く店」というイメージがあり、日本人でも憧れの存在であった。そう簡単には店に通えない事情があったのだ。確かに、職人が握った寿司は、適度に空気を含み、ふんわりと口の中でシャリがほどけてネタの魚と相まって「寿司の旨さ」を醸し出す優れた職人技だ。鈴茂器工の寿司ロボットは誕生して半世紀近く経つ。その間に本物の職人の技に迫る進化を遂げている。

回転寿司店内で活躍する鈴茂器工の寿司ロボット初号機(写真提供:鈴茂器工)

名誉ある「機械遺産」に認定

2013年にユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」。日本人の伝統的な食文化の中心は、米飯だといえる。世界の主要な穀物は麦だが、アジアを中心に米食の地域も残っている。

鈴茂器工の創業者、鈴木喜作が1961年に前身の会社を設立した当初はアイスや和菓子用の製造機械を開発・販売していた。しかし、1970年代から日本で洋食とレストランが浸透し始め、日本人の食生活にも変化が訪れる。鈴木は「米の消費を増やす製品を開発する」と、米飯加工機械への挑戦が始まったのだ。それまで、菓子や食品加工機械で培ったノウハウを、米飯加工機械に注ぐ覚悟を決めた。

1970年に開催された大阪万博。当時最先端の科学や文化の祭典に来場者で賑わった (1970年、産経新聞社撮影)

1970年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)では戦後の日本の経済成長を象徴する数多くの革新的技術が披露されたが、その中でも「回転寿司」は大いに注目された。ベルトコンベアで流れる寿司を客が手に取り、食べるのは新たなエンタテイメントであり、好きなものが食べられる利便性でも受け入れられた。鈴茂器工は約5年の年月をかけて最初の寿司ロボットを開発した。そこには、寿司職人の技に劣らない仕上がりを目指した執念の闘いがあった。握り寿司のシャリ玉を、つまんでも崩れず、口の中でホロリとほぐれる絶妙な加減を徹底的に研究して生まれた寿司ロボット。協力してくれた寿司職人が厳しくダメ出しして、改良に改良を重ねた結果、ついに初号機が1981年に誕生したのだ。

鈴茂器工の画期的な寿司ロボットの登場で安価な握り寿司が提供できるようになり、国内外に回転寿司が普及した貢献度が評価され、この初号機は、2021年に日本機械学会から名誉ある「機械遺産」に認定された。キッチン内の自動化と省人化に大いに寄与し、鈴茂器工の寿司ロボットのシェアは国内外で約8割近くを占めるようになった。

「海苔巻きカッター」で海苔巻きを綺麗に切ることができる (©JAPAN Forward)

総合米飯加工ロボットへと進化

鈴茂器工はさらに「海苔巻き」や「いなり寿司」などの寿司ロボットの品揃えや、寿司の酢飯作りに最適な「酢合わせ」、海苔巻きの「カッター」などの関連製品にもチャレンジし、開発に成功した。さらには、「おにぎり」や「ご飯の盛り付け」の機械まで領域を広げている。

鈴茂器工の製品は、食品工場向けの大型の製造ラインから、小型店のキッチン向けの小規模な機械まで揃っている。食品工場での大量生産から、回転寿司、外食レストランやホテル、コンビニ、そして小型のレストラン、居酒屋まで、米飯を扱う全ての店舗に対応した製品を扱っている。

外食業態の寿司ロボットが軌道に乗った後は、持ち帰り用に個別包装された「包装寿司ロボット」や容器への「自動移載装置」などもラインナップに加わり、寿司ロボットは、活用の舞台を回転寿司などの外食店から、持ち帰り寿司やスーパー、百貨店の食品売り場やコンビニなど日常の消費の舞台にも拡大している。

変わり種では、1987年に日本のハンバーガー企業とタイアップして、バンズ(パン)の代わりにパテ状にした米飯で具材を挟む日本ならではの発想の「ライスバーガー」も実現させ、ヒットさせた。「実現が難しい」ものを可能にするのが鈴茂器工の技術力なのだ。

海外でもSushiが店頭に並ぶ(米国で撮影、©鈴茂器工提供)

世界のニーズに対応

海外の日本食レストラン数は約19万店(2023年、農水省調べ)も出店している。米国だけでも2万店余りの日本食レストランがあるが、シェフは必ずしも日本人とは限らない。そうした日本食の作り方を特に習熟していないシェフ、店舗にとっても、鈴茂器工の米飯加工ロボットの導入は職人不足を補う大きな助っ人になっている。

現在、鈴茂器工が製品を販売している国・地域は90を超える。米国とシンガポールに海外拠点があり、販売代理店を通じて世界中へのネットワークも持っている。そのため、各国の情報にも精通している。海外、主に北米や欧州などでは握り寿司に比べ、巻き寿司の人気が高いという。日本では海苔を外側に巻く習慣があるが、海外ではその逆、内側に巻く巻き方(裏巻き)に人気があるようだ。「カリフォルニア・ロール」や韓国風の海苔巻き「キンパ」が裏巻きで、鈴茂器工のロボットは対応可能でもある。

 また、人が握ったものより、機械(ロボット)の方が衛生的という海外の評価もある。小型レストランで、客から見える位置に置かれたスタイリッシュな小型の米飯ロボットはデザイン性も考慮され、違和感なく店内に置かれるように設計されている。外食で気軽に寿司を食べる機会が増え、今では、スーパーマーケットなどの店舗の総菜売り場でも寿司コーナーが設けられるようになった。海外でも寿司が日常の食べ物へと浸透している。調査会社のGlobal Informationによれば、寿司レストランは年率2%成長ペースで、2030年までに世界で225億ドル規模になるという。

「個別包装」の発想も、海外での見本市で来場者が出来立ての寿司より、ラップで包装された寿司を好んで選んだ傾向から生まれた。国や地域によって異なる海外での食文化の慣習などを研究し、現地に合う製品の開発に努力を重ねている。今日、鈴茂器工が開発した製品の裏では、数えきれないほどの試作機が眠っている。鈴茂器工はまさに日本の米飯のグローバル化に貢献している、米飯加工ロボット業界のエジソン的存在なのだ。

様々な状況で活用できるスタイリッシュなコンパクトシャリ玉ロボット「S-Cube(エスキューブ)」(©JAPAN Forward)

進化したおにぎりロボット体感を!

 日本では、2025年4月から半年間、大阪・関西万博が開催される。鈴茂器工は、象印マホービンが大阪外食産業協会のパビリオンに出店するおにぎり専門店に、おにぎりを半自動で製造するシステムを提供する予定だ。炊飯器メーカーの象印が最上位機種の炊飯器で炊き上げたご飯を使用し、顧客はスマートフォンでの注文で効率的に出来立てのおにぎりが味わえるのが特徴だ。「ふんわり、ふっくら」した、こだわりのつまったMade in Japanの出来立てのおにぎりが会場で提供される。

今や海外でも人気のおむすび/おにぎり。自社主催の展示会では機器を活用した商品提案まで行う(©鈴茂器工)

英国オックスフォード大学が出版する英語辞典に2024年春、「takoyaki(たこやき)」「karaage(唐揚げ)」「katsu(カツ)」「tonkotsu(豚骨)」などとともに「onigiri(おにぎり)」が食に関する日本語で追加された。これも海外で日本食が浸透している証と言える。万博をきっかけに、寿司が特別な日のご馳走から日常へ定着し世界に広がったように、2025年の万博をきっかけに、海外で日本の"おにぎり"が当たり前のように食されるようになるかもしれない。

大阪・関西万博で活躍する予定の、おにぎりを半自動で製造する鈴茂器工のシステム(©JAPAN Forward)

鈴茂器工はJapan Forwardの賛助企業です.

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Author: Hidemitsu Kaito

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