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10月27日に急死した中国の李克強前首相の遺体は11月2日、北京市内で荼毘(だび)に付された。ここ数日、中国全国各地で自発的に李氏を追悼する人々が増えており世界中が注目している。
李氏の故郷の安徽省合肥市では、李氏が幼少期を過ごした旧家に連日、弔問客が長蛇の列をつくる。李氏が約20年前に勤務した河南省の省都、鄭州市では、市民有志が中心部の公園に献花台を設けてさまざまな追悼活動を展開した。習近平指導部は、各地のこうした動きが反政府デモに発展することを警戒し、大勢の警察官を派遣するなど目を光らせている。
2013年春に首相に就任した李氏は約10年間、共産党政権のナンバー2を務めたが、個人崇拝を推進するトップ、習近平国家主席の陰に隠れて存在感を示すチャンスは少なかった。死去してからにわかに注目され、民間で大規模な追悼活動が行われた。国際社会の多くの人は「李克強人気」を初めて知り、意外だったに違いない。
筆者:矢板明夫(産経新聞台北支局長)
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2023年11月3日付産経新聞【緯度経度】より